ホスピスって何?その費用から、施設やケアの内容までを徹底公開

誰にでも”人生最後の時”が訪れます。日本人の2人に1人ががんになる今の時代、自分の人生をどのように終えるか、「ポスピス」という観点で解説していきます。いろんな選択肢がある事とそれにかかる費用を今から知っておく事は「終活」において大切なポイントになってくるでしょう。



そもそも、ホスピスって何?

もし突然がんと告知されたら?

もし突然、最愛の家族ががんと告知されたら誰もがパニックになるでしょう。そして、何が家族にとって最善の方法なのか考えるかと思います。治療も出来る事もすべてやり尽くした結果、あと余命わずかとわかったとします。その時、あなたはどうしますか?

私の親友がお父さんをがんで亡くしたのですが、その時に彼女が言っていた言葉を今でも思い出します。「最後までお父さんらしく尊厳をもって過ごしてもらいたい」という言葉でした。そして、彼女たち家族の選択は山の上にある静かなホスピスでした。お父さんが自ら選び、自分らしい最後を決めた場所だったのです。

治療と緩和の違い

ホスピスとは主に末期がんなどの治療の手立てがなくなった患者を対象として緩和ケアを行う施設のことです。ホスピスでは抗がん剤などの延命治療をやめて、直面する激しい痛みや息苦しさなどの肉体的な痛みの緩和をします。そして精神的な不安を和らげ最後の時を痛がらず、怖がらす、その人らしく迎えることが出来るようにサポートするところなのです。

だれでも入れるの?

現状では厚生労働省が1990年4月にスタートさせた「緩和ケア病床承認制度」と関係があり、悪性腫瘍とエイズ(後天性免疫不全症候群)疾患にかかり、その病状が末期であることを条件にしているところがほとんどです。しかし、緩和ケア病棟の承認を受けていないホスピスでは末期であればがんでなくても入院できるところはあるようです。

どんな人がいるの?

ホスピスには医者やナース・薬剤師だけでなく、各専門分野でのスタッフが多いようです。例えば、作業療法士や歯科衛生士などの医療の専門家や、ペルパー・医療ソーシャルワーカーなどの福祉の専門家、そしてキリスト系の病院では神父や牧師などもいます。

これら沢山の専門家に加え、ボランティア人たちもホスピスで活躍されているようです。患者サイドでもなく医療サイドでもないボランティアの存在が、患者にとって安らげる存在になることもあるようです。多くのスタッフがいる事によって患者ひとりひとりに手厚いケアが行き届き、医療サイドからの一方的なサポートではなく、患者それぞれに合った最後の形を決めていく事が可能になるようです。

告知してないとだめ?

病名の告知はしてないとだめかというと、必ずしもそうではないようです。患者が「治療が難しいがんであると知っている」ことや「治療を積極的に行わない病棟であると知っている」もしくは患者本人が「ホスピスへの入院を希望している」などでホスピスによって異なるようです。

しかし、2005年12月に日本ホスピス緩和ケア協会が定めた「ホスピス緩和ケアの基準」のなかでは患者が病名・病状について理解している事が望ましいとしています。本人が自分の状況を自覚している方が、情報と状況を分かち合いながらチームでケアしていく方がその人らしい最後を迎える事が出来るからです。

誰がどうやって決める?

最近では本人への告知、ホスピスの認知度が上がっているので患者本人がホスピスへ入院を希望するケースが増えてきているようです。その次に家族がホスピスを勧めるケースが多いようです。

一般病棟からホスピス病棟へ転棟したり、他病院から転院したり、状況によっては外来受診・自宅からホスピスに入院するケースもあります。

ターミナルケアとは?

ホスピスの中でもその終末期のケアの事をターミナルケアと呼ばれる事が多いようです。ターミナルケアでは延命を目的とするものではなく、身体的苦痛や精神的苦痛を軽減することによって、Quality of Life=人生の質を向上することにフォーカスをあてていて、緩和ケアだけではく、精神的側面を重視した総合的な措置を中心に行います。ターミナルケアは同様の意味として、終末期医療、終末期ケアといわれることもあります。

ホスピスのメリットは?

最大の利点はペインコントロールといわれる病気による痛みを和らげてくれるケアに手を尽くしてくれるという事です。このケアによって苦痛に耐えながら最後の時を過ごすのではなく、自分らしく最後の時を過ごす事が出来ます。

その上で患者のライフスタイルを尊重してくれるため、自宅と同じような自由な生活を送れ、お酒やタバコも自由に楽しむ事が出来ます。

緩和ケア |厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年11月著者調べ)



ホスピス費用は高いの?

入院料は定額制

ホスピスの入院料は1日単位で診療報酬点数が決まっている定額制です。2014年4月の改正で入院する期間により入院料が変わりました。

・30日以内の場合:入院料は1日4,926点(49,260円)
・1日以上60日以内の場合:入院料は1日4,412点(44,120円)
・61日以上の場合:入院料は1日3,384点(33,840円)

保険は使える?

■各種健康保険が適用出来る
ホスピスでも一般病棟に入院するのと同じで社会保険、国民保険などの各種健康保険が適用されるのです。

医療費総額の一割負担(社会保険本人)
医療費総額の二割負担(同家族など。社会保険家族の二割負担は入院の場合)
医療費総額の三割負担(国民健康保険など)

ホスピスの場合、個室利用度が高くなりますが一般病棟の個室利用料と費用負担は同じなのです。

■高額療養費制度も適用出来る
1ヶ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超えた分の払い戻しを受けられる制度です。保険外治療や食事療法費、個室料差額等は対象外で返還は3ヶ月~半年後くらいとなりますので、その間は手持ちの現金で対応することになります。

費用例シュミレーション

70歳未満で年収約370万円〜約770万円の方の医療費が1カ月100万円の場合をシュミレーションしてみましょう。かかるお金は大きくわけて3つあります。

1)入院診療費・食事代 2015年11月現在著者調べ 80,100円+(医療費1,000,000円—267,000円)x1%が適用されます。計算すると87,430円が1カ月の自己負担額になります。食事代は一般的に1食260円となり1日分は780円なので、1カ月分の食事代は780円x30日=23,400円となります。食事代については、入院する日数や所得よって、これより負担が安く済む場合もあります。

このように窓口で負担する額を少なくするためには、「限度額認定証」というものが必要になります。国民健康保険の方は管轄の市区町村へ、社会保険の方は職場を通じて申請します。
2015年11月現在著者調べ 2)差額ベッド代
病院によって大きく異なりますが、2,000円から18,000円くらいまで差があります。中間値である6,000円でシュミレーションした場合、1日6,000円x30日=180,000円となります。

3)雑費(オムツ代、タオル・寝巻き代など)
雑費も病院で大きく異なりますが、オムツは持込み可能な場合もあれば、病院で用意して後から請求されるところもあります。安い場合は1カ月2万円で高いところは1カ月6万円以上の場合もあります。タオル、寝巻き代は2万円から5万円以上の場合もあります。

中間値のオムツ代4万円、タオル、寝巻き代3万円でシュミレーションすると1カ月7万円になります。

1)入院診療費・食事代 110,830円
2)差額ベッド代 180,000円
3)雑費(オムツ代、タオル代など)70,000円

1ヶ月の入院費用合計は360,830円ということになります。このシュミレーションはひとつの例であり、医療費は所得によって違いますし、病室によっても費用は違うのでひとつの例として参考にしてください。

在宅ケアの費用

在宅ホスピスをサポートするための医療保険制度が推進され、2006年から入浴などの介護サービスについても、40歳以上の末期ガン患者は介護保険が使えるようになりました。

緩和ケアの医療費について|緩和ケア.net
参照元:緩和医療学会(2015年11月著者調べ)

ホスピスは何種類あるの?

ホスピスは一般的に5種類ほどに分類されます。

病院内病棟型

一般病院の一部の病棟、あるいは階を決めてホスピスとして利用する事です。多くの病院は眺めの良い最上階にホスピスの病棟を配置している事が多く、精神的ケアに重点を置いています。

一般病棟では治療という観点で食事、面会時間などの制限がありますが、院内病棟型ホスピスでは患者の生活の場として捉えられており、最小限の制限はありますが基本的に面会時間などは自由なのです。

病院内独立型

一般病院の同じ敷地の中に、一般病棟とは違う独立したホスピスとしての建物をもつ事です。よりその人らしい最後を迎えるために部屋も自宅に近く寛げるように工夫されている建物が多いようです。

病院内緩和ケアチーム

一般病院内に緩和医療を行うための専門家を用意して、主治医とは別に患者からの依頼を元にケアを行う事です。緩和ケア病棟としての承認施設基準を満たした病棟は持っていなのですが、緩和ケア専任のスタッフがチームを組んで緩和ケアをする事です。

完全独立型

治療のための診療科を持たないため、緩和医療以外の積極的な治療を行わないホスピスのみを行う施設の事です。完全独立型ホスピスは総合病院等に属さないホスピスのみを行う施設で、日本にはまだ数少ない施設しかないようです。

在宅ホスピス

入院をせず、在宅でポスピスケアをうける事です。現在の状況は、90%以上の人は病院で最後を迎えるようです。その理由は家族が自宅で最後を迎えるのが恐ろしいと思っていたり、自宅での介護が難しいと思っているケースが多いからだと言われています。また、告知が出来ていない場合は患者が最後まで治ると思っている中で病院で最後を迎えるケースもあります。

ですが、最近では病院の主治医、家庭医、看護介護センターの3つの柱をうまく利用することによって自宅での終末期ガン療養も快適にする事が可能になってきているようです。自宅で緩和ケアを受ける場合も病院で受ける治療と帆どんど変わらないサポートを自宅で受けられたり、適切な薬を使用する事によって痛みを緩和する事が可能になるからです。

最後は我が家で家族に囲まれて穏やかに迎えたいという人には最も自然な形で迎える事が可能なのです。

特定非営利活動法人 日本ホスピス緩和ケア協会
参照元:日本ホスピス緩和ケア協会(2015年11月著者調べ)



人気のあるホスピス

ネットの口コミで評判が高く人気があるホスピスをいくつかご紹介します。

淀川キリスト教病院(大阪市)

淀川キリスト教病院|ホスピス・こどもホスピス病院
参照元:淀川キリスト教病院 大阪市の淀川キリスト教病院。キリストの愛をもって仕える全人医療理念に基づき、日本の医療の場でパイオニアとして位置づけ。現在は医療から介護・福祉の分野まで手がける。 日本屈指のホスピス病棟をもつ淀川キリスト教病院はネットでの口コミも多く、満足度の高いホスピスのようです。病院施設内に生け花や絵画が飾られていて美しい事などのハード面だけでなく、経験豊富な医師、看護師に囲まれて人間としての尊厳を失う事なく穏やかに最後を迎えられる方が多いようです。

聖隷三方原病院(静岡県浜松市)

緩和ケア普及のための地域プロジェクト | 総合病院 聖隷三方原病院
参照元:聖隷三方原病院 聖隷三方原病院は、静岡県浜松市にある総合病院です。ドクターヘリに代表される超急性期医療だけでなく、地域医療支援病院として、結核、ホスピス、重症心身障害などにも積極的に取り組んでいます。 病院内はとても広く、患者図書館も充実しているようです。ホスピス内には自炊出来る施設があり、教会があり、スタッフの対応が素晴らしくこの地域では絶大な人気を誇る病院のようです。

聖路加国際病院(東京)

緩和ケア科 – 受診案内 – 聖路加国際病院
参照元:聖路加国際病院 東京都中央区明石町に米国聖公会の宣教師ルドルフ・トイスラー博士によって1902年に創設。以来100年以上の長きにわたり、キリスト教精神の下に患者さん中心の診療と看護を実践してきました。その精神は現在も受け継がれています。 聖路加も日本屈指の病院です。私の身内が入院して身をもってその良さを体験しました。医療チームは各専門家によって構成され、日に何度も様子を確認にし来てくれます。美しい病室はもちろんのこと、お部屋には花があり、週末にはミニコンサートもあり、美しいチャペルもありました。なによりもそのスタッフの方達の質の高いコミュニケーションと心遣いはこの病院にお世話になって良かったと思うポイントなのだと思います。

ホスピスを探す

住んでいる場所、がんの種類によっても希望のホスピスが異なるかと思いますが、いくつかの情報サイトをご紹介します。

がん情報サービス
参照元:国立がん研究センター

緩和ケア病棟のある病院を探す
参照元:がん情報サービス

今から考えよう、自分らしい最後

普段はあまり考える事のない人生最後をどう過ごすかをホスピスという観点でご紹介してきました。自分の事であれ、家族の事であれ、ホスピスの種類やホスピス費用について知っている事でいざという時に慌てずに人生最後の選択をする事が出来ると思います。

元気な間は自分らしい人生を送る事はそんなに難しくないのかもしれませんが、自分の人生が終わりに近づいた時「自分らしい人生最後」を迎えられるかどうかは、今からどんな選択肢があってどのような形で最後を迎えたいかを考える事に尽きると思います。

*本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。
従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。