扶養異動届とは?「どんな時に異動する?」事例と手続き一挙公開

扶養から外れたとき、扶養に入ったときなど、決められた期間内に届け出をしないといけません。届け出をしないと、せっかくの権利を受け取れなかったり、逆に払う義務を怠ったという事にもなりかねません。実際にはどのタイミングで、どんな手段で、どこに届け出れば良いのでしょう。



1.扶養異動届の意味は?

扶養って何?

生まれてから社会人になるまでは、親の扶養に入っています。扶養者が親で、被扶養者が子供です。社会人になって自分で稼ぐようになり、年金や健康保険等に自分で加入したタイミングで親の扶養から外れることになります。そして結婚して専業主婦となった女性は、夫の扶養に入ることになります。ですから扶養とは、生計を共にしている家族が主たる稼ぎ手であり、自分がその人と生計を共にしているという事です。

ちなみにこの場合のイドウは異動になります。場所を移す「移動」とよく勘違いされますし、わかっていてもうっかり移動にしてしまう事があります。気を付けたいポイントです。

扶養の異動とは、新たに扶養者になる人が出てきた、扶養から外れる人が出てきた場合を指します。社会人になる、転職する、結婚の際などによく異動になりますので、そういった人生のイベントをきっかけに適切な社会サービスを受けるため、国民としての義務を果たすために届け出の必要が出てきます。

扶養者と被扶養者、どっちがどっち?

扶養者、被扶養者という言い方がよく使われます。混同しないように確認しておきましょう。扶養者が扶養する人で、被扶養者が扶養される人です。

具体的には親が扶養者で、子供が被扶養者です。専業主婦の場合は夫が扶養者で、妻が被扶養者となります。

ちなみにこういう事を調べていると、被保険者という言葉も良く見かけます。被保険者は保険に加入している人という事になります。上の例で言うと、父親や夫です。被保険者、すなわち保険に加入している父親や夫が扶養者となり、子供や妻は被扶養者となります。

「被」という漢字は「こうむる」と読みますが、サービスを被る人、すなわちサービスを受ける人と考えると良いようです。

扶養になるとどうなるの?

被扶養者になると下記の点で優遇されます。

・扶養者が配偶者控除、配偶者特別控除などを受けられる
・扶養者が厚生年金の場合、被扶養者の健康保険や年金の保険料が免除される
・扶養者の勤務先に配偶者手当制度がある場合、扶養であると手当がもらえる

このように扶養には金銭的なメリットが大きいため、こだわる方は大変多いです。特に主婦の場合、働き過ぎて収入が増え扶養から外れてしまうと、保険料などの負担が大きい場合が出て来て「働き損」と呼ばれるケースもあるぐらいです。

ですから扶養から外れないように収入を調整している方もいます。極端な例ですが、12月になるとパートを休む人、10月ぐらいから回数を減らす人が本当にいました。

他の要件はなかなか合わせることが難しいのですが、収入だったら仕事の量で調整が可能です。ただこうした税法上の優遇措置も、現在廃止の方向で議論が進んでいます。そのため近い将来はどうなるか不透明です。

扶養の範囲

被扶養者となるためには、すなわち扶養に入るためには、一定の要件があります。一定の要件を満たしていれば、被扶養者となることができます。

一定の要件とは、収入や年齢や親族の等親などを基準に決められています。部分的には既知のものもあると思います。例えば、収入は103万円までとかです。

ここで注意したいのが、会社、社会保険、税法上でこの扶養のための要件がすべて同じではない事です。すなわち会社には会社の配偶者手当を支給するための扶養の定義があり、年金や健康保険もまた異なる要件で被扶養者を定義しています。また税法上もしかりです。

要は一言で扶養と言っても、その線引きはそれぞれが決めている事になります。知るにつれて扶養の意味がバラバラだと感じる人もいると思います。

ただ異なっているとは言っても、似ている部分もかなりあるし、共通点も多いです。実際に加入・脱退などの異動を行う場合は、ここの要件を一つ一つ確認して、その要件を全て満たしているか確認しながら進めることをお勧めします。



2.扶養の異動、届け出先はどこ?

まず最初に届けるのは?

届け出るのは、まずは扶養者の勤務先です。親子なら親の勤務先、夫婦なら夫の勤務先ですね。

速やかに届け出を行って下さい。給与計算等のために扶養か否か会社側は常に把握しておく必要があります。会社への届け出と同時に日本年金機構へ提出する書類を渡されるので、記入して提出します。このように扶養者が会社勤めの場合は一度で手続きが完了します。

日本年金機構に提出する用紙は簡単にダウンロードできます。企業の総務人事部向けのページではありますが、最新の情報が詳細に書かれています。とりあえず読んでおけば、総務人事担当者と話をする際の予備知識となるでしょう。

従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年著者調べ)

健康保険の手続き

会社勤めの人の健康保険の手続きは日本年金機構が行っているので、勤務先で記入した届出用紙は日本年金機構に提出することになります。「健康保険被扶養者異動届」がありますので、子どもが扶養を外れるとき、子どもが扶養に入るときなど被扶養者が新たに加入・脱退するときは、扶養者である親がその都度勤務先にを提出します。

扶養に入れるのか、外れるべきなのか悩むときがあります。収入要件など、いろいろと規程がありそれに当てはまる必要があります。例えば、妻や子供だったら同居してなくても扶養に入ることが可能です。逆に同居していれば甥っ子や姪っ子でも扶養に入れる場合もあります。

収入についても規定があります。扶養については収入要件は大切なポイントです。同居している子どもでも大学三年生でアルバイトで年間200万円も稼ぐようだと扶養に入ることは出来ません。迷ったら、ぜひ下記にアクセスして確認してみて下さい。

健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年著者調べ)

年金の手続き

年金の場合、被扶養者になれるのは配偶者のみとなります。被扶養者は保険料を負担しなくても良いため、要件を満たすために収入を低く抑えている人も多いです。いわゆる103万円の壁ですね!

日本年金機構に扶養異動の届け出をしてあると、年金関係は手続き不要な気になるものです。ここで注意したいのが、厚生年金に加入している夫の扶養に入っても、妻は厚生年金に加入することにはならない点です。この場合の妻は国民年金となります。扶養に入る事でこの国民年金の保険料を支払う必要がなくなります。国民年金第3号はそういった会社員・公務員の妻を指しますので、別途国民年金への手続きを行い「第3号」になる必要があります。

3.扶養が異動するタイミング

長い人生では、扶養異動届を出すタイミングが何度かあります。就職、結婚、退職、出生、転職、その他離婚など人生のイベントのタイミングで扶養異動届を出すことになります。

主に20から40代にかけて、ありそうな扶養の異動のタイミングを並べてみました。

社会人になる

生まれてからずっと父親の扶養に入っていた人も、学校を卒業し就職したら、社会保険等に加入します。そのタイミングで父親の扶養から外れなければなりません。こういった場合は、父親が勤務先に被扶養者の異動届を出す事になります。父親が自分の企業の人事部を通じて被扶養者が一人減ったという手続きを行います。

結婚する

結婚しても、互いにこれまでどおり働く夫婦も多いです。とりあえず子供が出来るまでは互いに勤務先の厚生年金に加入し続けるのであれば扶養に関する手続きはありません。一般的に年収200万以上あるなら、扶養に入るよりたくさん働いて稼いだ方が良いと言われています。

ただ何かのきっかけで収入が減ってしまい収入要件を満たすようであれば、配偶者の扶養に入る事を考えたほうが良いかもしれません。

2015年現在、社会保険において被扶養者となるための収入要件は年間収入が130万円未満となっています。130万円未満なら配偶者の扶養に入る、すなわち被扶養者となったほうが明らかにメリットがあるでしょう。

夫の扶養に入ることにしたら、夫の勤務先に夫が扶養異動の届け出をします。妻は新規の被扶養者ということになります。この辺りのプロセスや留意事項については、結婚を機に専業主婦になる場合と同様です。

結婚のため退職する

結婚のため退職して専業主婦となる場合は、夫の扶養に入ることになります。夫の会社を通じて新規の被扶養者で異動の手続きを行うと夫の扶養に入ることができます。

夫の扶養に入る事で、夫が配偶者控除や配偶者特別控除など税制面での優遇措置を受けられます。夫の勤務先がちゃんと配偶者控除を適用して年末調整等も行ってくれます。夫の健康保険に入ることで、保険証も新たに発行されます。

なお自分がこれまで入っていた健康保険の脱退手続きを行うのを忘れずに。親の扶養に入っていたならば、親にお願いします。自分で厚生年金に入っていたら、これまでの勤務先を通じて行います。これも異動届の一つです。

そして年金ですが、これは国民年金に「第3号」として加入する手続きを自分で別途行う必要があるという事でした。国民年金の手続きに、具体的にどこに行けばよいのでしょうか?

国民年金は、20才以上の全ての国民が加入することになっています。2015年現在、学生であっても20才以上であれば国民年金に加入となっています。但し学生の場合は申請により保険料の支払いが免除になっています。

国民年金の手続きは市町村の役所が窓口となります。ご自分の住民票がある市町村の役所に年金手帳を持参して手続きを行って下さい。結婚に伴い住民票を移す方はそのタイミングで一緒に手続きすると良いでしょう。

子どもが生まれる

結婚して子供ができた場合、市町村の役所に出生届けを出します。主たる稼ぎ手が父親で、職業が会社員や公務員の場合は、父親の勤務先にも届出します。新たに扶養する人が増えたという事で、被扶養者の異動届を提出する事になります。そうすることで健康保険などの行政サービスを受けることが出来ます。

世帯主が国民年金の場合は、市町村の役所で国民健康保険の手続きを行うことになります。ですから出生届けど同時に手続きをします。国民年金の人は健康保険は「国民健康保険」になります。

壁を越えて働いた場合

子どもが小さいときは仕事量を減らし、子育てが一段落したら仕事量を増やすという働き方の女性も増えた気がします。一度は夫の扶養の範囲で無理なく働いたものの、時間に余裕が出来て103万円の壁を越えて働くことになったら、また異動の手続きが必要でしょうか?

収入要件は大切なポイントなので、壁を越えてしまうと扶養を外れなくてはいけません。この壁も103,130などいくつかある壁なので、収入が年間100万円を越えそうだなと思ったら気を付けて下さい。

税法上は、1月1日から12月31日までの一年間の収入が基準になります。壁を越えるなと思ったら、扶養異動届を提出することを考えましょう。夫の勤務先に夫が「被扶養者の異動届」を提出することになります。

夫はそれまで受けていた税法上の配偶者控除等を受けることが出来なくなります。
この届けを出す事で、会社からこれまで受け取っていた配偶者手当がおそらくなくなります。妻自身が年金と健康保険に加入し、その加入手続きを行います。そして月々の保険料を支払うことになります。

扶養を外れることによって、夫婦ともに負担が多くなります。ですからもし扶養から外れて働く場合は、せっかくですからバリバリ働いてしっかり稼ぐ強い気持ちがあると望ましいです。

離婚した場合は?

今まで夫の扶養に入っていた人は、離婚と同時に扶養から外れることになります。手続きは夫が自分の勤務先に「被扶養者異動届出」を行い、被扶養者が一人脱退する旨を届出します。

子供がいて離婚した場合は、少々複雑なようです。理屈から言えば、親権を持つ人が扶養者になることになります。

ただ様々な事情から、親権はないけど実子なので被扶養者にして健康保険に加入させたいという事もあるでしょう。こういった事は可能なのでしょうか?難しいような気もしますが、可能ならばそうしたいという事例もあると思います。こういったときは、協会けんぽに相談するのも一考です。

全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年12月著者調べ)