【年末調整】なるほど!やさしい扶養控除申告書の解説

入社時や年末調整の時に記入し、誰もが通る「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、扶養控除申告書と表記します)の記入。毎年書き方に困ったり忘れてしまったりしていませんか?また、よく書き方がわからないことで損していることはありませんか?これを機に苦手意識を無くし、正しい申告ができるようにしましょう。



扶養控除申告書とは

扶養控除申告書とはお給料をもらっている全ての人の所得税・住民税の区分を決める為に必要な情報を記入してもらう書類で、必ず毎年記入して提出してもらいます。

その名の通り、家族を扶養していることで受けられる控除(控除については後ほど詳しく解説します)を受けるために申告するものです。毎年記入するものの、1年に1回しか書かないので毎年わからなくなってしまうこともあるかもしれませんが、何のための書類なのかここで勉強していきましょう。

[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|源泉所得税関係|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月時点、著者調べ)



そもそも所得税って?

扶養控除申告書の記入の前にそもそも「所得税って何だ?」と思います。学校では教えてくれなかったですものね。勝手にお給料から引かれているからあまり気にしたことがない人も多いと思います。

しかし、申請することでもらえるお金や返ってくるお金のことは知らないと損してしまうことばかりの世の中です。扶養控除申告書の書類を見て難しそうと思うかもしれませんが、一度内容を理解してしまえば難しくはありません。これから「どこに、何を、なぜ、記入するのか」易しく解説していきます。

所得税は働く人たちが払う税金

消費税、住民税、所得税・・・。色々な税金の種類がありますが、所得税は働いてお金を稼いでいる人本人が国へ納める税金です。「所得」とは、個人が1年間(1月〜12月)に得た収入から必要経費を引いたものを指します。所得というとお給料を想像する方がいますが、厳密に言うと収入と所得は異なります。まずここを押さえておきましょう。

また、所得の中にもいくつもの種類があり、会社で働くサラリーマンが得るものは「給与所得」と呼びます。

おや?扶養控除申告書の正式名称は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」でしたね。ここでお分かりの方もいるかもしれませんが、扶養控除申告書は主に会社で働き、会社からお給料をもらっている方が記入する書類となります。

給与所得の所得税はどうやって決まるの?

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では、毎月のお給料で引かれている所得税はどのように計算されているのでしょうか。皆さんの会社の給与担当の方は源泉徴収税額表というものを用いて所得税を計算しています。下のリンクからダウンロードできますし、最寄りの税務署にも置いてあり、自由に持っていくことができます。

この表を見ると社会保険料(年金、健康保険、雇用保険)を引いた金額でこの表を見ればいくらかすぐにわかりますね。しかし、甲欄乙欄という欄があり、以下のことに気づきます。

・甲欄には扶養家族の人数が書いてあるが乙欄には書いていない
・乙欄の方が金額が高い

例えば、10万円の給与だった場合、甲欄は扶養親族0人でも720円ですが、乙欄だと3,600円ですね。大幅に金額が異なります。この2つの欄はなぜあるのでしょうか?

ここで、「扶養控除申告書」の登場です。実は扶養控除申告書を出すことで扶養家族の人数がわかるので甲欄になりますが、出していない場合は扶養している人が何人か分からないので乙欄となってしまいます。また、アルバイトの掛け持ちや副業などで2カ所以上で給与をもらっている人は正しい税額が計算できないので、主な勤務先(勤務時間が多い方など)で扶養控除申告書を提出して甲欄にし、もう一方は乙欄となります。

平成27年分 源泉徴収税額表|パンフレット・手引き|国税庁
参照元:国税庁HP(2016年1月時点、著者調べ)

乙欄は損?

「ちょっと待って!乙欄で引かれてしまっていたらそのままなの?掛け持ちは損?」と上記の記述では思うかもしれませんが、ここで年末調整・確定申告の登場です。

年間を通して入社や退社をしたり、扶養家族が増えたり減ったり変動があるかと思います。毎月の所得税は同じ区分で徴収し続け、年末にまとめて扶養家族の確認などの控除の計算をして正しい所得税額を計算するのです。また、掛け持ちしている場合は両方の勤め先の会社で年末調整するのではなく、すべて合算しないことには正しい税額がわからないので、ちょっと面倒ではありますが確定申告にて計算します。

また、控除に関しても数種類あり、毎月徴収されるお給料では控除が適用されていない段階の為、多くの人は取りすぎている所得税が戻ってくるのです。

控除って何?

控除とは、所得税をかける前の元となる金額を減らすものです。同じお給料をもらっていても、結婚しているか、子供はいるか、家族に障害を持っている人がいるかなど様々な条件によって不平等にならない様、生活が大変な方の負担を減らすために控除をしています。

控除をすることで子育て中や介護をしている人たちなどが税金が高くなりすぎない様にこれをかなり細かく計算するのも年末調整の役割です。また、生命保険料や社会保険料を自分で支払っている場合にも控除を受けられます。ここでは扶養控除申告書に関わる控除の種類のみを取り扱いますが、下記のように様々な控除があります。

<申告不要>
・基礎控除
・給与所得控除

<扶養控除申告書>
・配偶者控除
・扶養親族控除
・障害者控除
・寡婦(寡夫)控除
・勤労学生控除

<保険料控除申告書>
・配偶者特別控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除

<その他(確定申告にて)>
・医療費控除
・雑損控除
・寄附金控除

などがあります。様々な種類があるのですがどれか1つでも該当する場合は自分から申告をしないと控除されないので、要注意です。

それでは、扶養控除申告書に関係ある控除の種類をひとつひとつ見ていきましょう。

基礎控除

所得税額の計算をする場合に、申告する人全員に適用される基礎控除というものがあります。基礎控除の金額は収入の大小に関わらず、一律で38万円となります。

ここでうっかり、「38万円も戻ってくるの?」と思ってしまう方もいるのですが、控除の定義を思い出してみてください。あくまで所得税をかける前の金額を減らすことです。例えば、「◯×△=□」だったら◯の金額を38万円減らすということです。実際に減る税額は収入によって異なるので計算して出します。

給与所得控除とは

基礎控除に加えて全ての給与所得者に共通して行われる給与所得控除というものがあります。これがサラリーマンの「経費」に当たるものです。よく自営業の方で「これ、経費で落としといて。」なんてところをテレビで見たり聞いたりしますよね?

自営業の方は事業に使った経費を自分で計算しなくてはいけません。確定申告時に「領収書を集めるのが大変」というのも、年間の経費を計算しているからです。そこで、所得を下げることで税金をコントロールしているのですね。これを「節税」と言います。

一方、サラリーマンの皆さんは仕事に使用するスーツや靴などをご自身で購入していますよね。しかし会社にこれらの領収書を提出することはありません。全ての給与所得者が共通して65万円の控除を受けているのです。年齢や配偶者・子供の有無などに関わらず一律なのでかなりざっくりで驚きますよね。

No.1800 パート収入はいくらまで税金がかからないか|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月時点、著者調べ)

記入の仕方

では、新たな気持ちでいよいよ記入をしていきましょう!扶養控除申告書の左上の段から右下にかけて順番に解説していきます。記入漏れがないように、ひとつひとつ見ていきましょうね。

◯◯年度と書いてありますがいつ時点のことを書くの?

扶養控除申告書には、毎回「◯◯年度」との表記があり、その年の1月1日時点のことを書きます。年末調整時には来年のことを書きますが、所得も見積額を書きます。年度とありますが、その年の1月1日〜12月31日の事を申告するので、1月1日時点ではどうかということを基準に記入しましょう。

配偶者の有無

ここ、記入箇所が小さいのでうっかり書き漏れてしまうことが多いのですが、非常に重要なところです。他に記入漏れがあってもここの記入があればある程度は推測することができます。扶養している・していないに関わらず配偶者(夫または妻)がいるかいないかで◯をつけましょう。

また、ここで注意しないといけないのは、同棲相手や内縁の夫または妻は対象になりません。社会保険上では内縁関係も配偶者として認められるのですが、所得税法では民法の決まりに沿っており、ややこしいですが税務上と社会保険では考え方が異なる点を覚えておきましょう。

A-1:控除対象配偶者

よくパートの方がお話ししている、「103万円の壁」のお話です。配偶者(妻または夫)が年間収入103万未満だったら扶養している人がこちらの控除を受けられます。(収入に気をつけるのは扶養されている人)控除額は38万円です。右の欄に「所得の見積額」を書く欄があるのですが、ここでも収入と所得の違いに注意しましょう。

扶養される人は、誰でも共通の経費・給与所得控除が65万円がありますので、収入から65万円を引いてください。ここで基礎控除の38万円未満(つまり合計103万円未満)の方が対象になります。基礎控除も扶養控除も38万円なので紛らわしいですが別の控除です。

上記で◯をつけたのはただ単に配偶者がいるかいないかでしたが、ここにも配偶者がいるからといってバリバリ正社員で働いている妻または夫を書いてしまわないように気をつけましょう。

A-2:2種類の扶養について

扶養と聞いて注意しなくてはいけないのが、税制上の扶養と社会保険の扶養と2種類が存在することです。103万円の壁、130万円の壁というものをそれぞれ聞いたことがあるかと思います。103万円が税制上の扶養で、先ほど述べた基礎控除38万円+給与所得控除65万円を足すと103万円になりますよね。

ということは、103万円までの収入なら所得税がかからない、また、主婦の方でしたらさらに扶養している人がこの後説明する配偶者控除(38万円)が受けられるということでバリバリ働くことができない主婦(主夫)の方や学生アルバイトの人たちはこれを目安に働くのです。

一方、社会保険の扶養に入るためには年間130万円以上働いてしまうと扶養に入れず、自身で年金と健康保険の保険料を払わなくてはなりません。扶養に入ってしまえば、収入が少ないということで保険料がかかりません。社会保険料は月数万円、年間で20万円近くのインパクトがあるので130万円の壁は分厚い壁となっています。

*130万の壁については記事執筆時(2016年1月現在)の情報です。2016年10月に短時間労働者の法改正の施行が予定されています。

B:扶養対象親族(16歳以上)

扶養している親族のうち、16歳以上の人を書きます。控除額は配偶者控除と同じく38万円です。また、扶養される側の人の所得もやはり配偶者控除と同じく38万円です。

また、扶養している親族の年齢によっては控除額が上がります。

<特定扶養親族>
対象:19歳〜23歳の子。ちょうど大学生のお子様をお持ちの方はこちらが対象になりますね。
控除額:63万円

<老人扶養親族>
対象:70歳以上の扶養親族。
控除額:同居の場合は58万円、別居の場合は48万円

[注意点]・夫婦双方で扶養に入れて控除を受けることはできません。共働きであれば、子を夫の扶養控除申告書にも
妻の扶養控除申告書にも書くことはできませんので、話し合ってどちらの扶養に入れるか決めて書きましょう。
・年金受給者の場合は年間の年金額が65歳未満は108万円、65歳以上は158万円まで扶養されることができます。
また、年金でも3種類(老齢、障害、遺族)あり、障害年金と遺族年金は非課税になりますので、計算に入れる必要はありません。

No.1180 扶養控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁HP(2016年1月時点、著者調べ)

C:障害者、寡婦、寡夫、または勤労学生

【障害者控除】
ご自身や扶養家族に障害者認定されている方がいる場合、控除の対象となります。

<一般の障害>
対象者:軽度の障害
控除額:27万円

<特定の障害>
対象者:重度の障害
控除額:40万円

*一般か特定かは細かい基準が設けられておりますので、詳しくは国税庁のリンクをご覧ください

[注意点]・障害者手帳コピーの添付が必要となります。

No.1160 障害者控除|所得税|国税庁
参考 【寡婦(寡夫)控除】
寡婦又は寡夫とは夫又は妻である人と離婚又は死別して再婚をしていない人のことを指します。該当する場合は◯をつけましょう。

<寡婦>
対象:夫と死別した女性
控除額:27万円

<特定の寡婦>
対象:夫と離婚又は死別し、自身が子供を扶養している女性
控除額:35万円

<寡夫>
対象:妻と離婚又は死別し、自身が子供を扶養している男性
控除額:27万円

[注意点]・離婚して子供がいない人は控除の対象になりません。
・未婚で子供がいる方(離婚歴のない方)も残念ながら対象になりません。

No.1170 寡婦控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁HP(2016年1月時点、著者調べ)

No.1172 寡夫控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁HP(2016年1月時点、著者調べ) 【勤労学生控除】
対象者:勤労学生とは、学校に通う学生(小学校〜高等学校、大学、専門学校等)であると共に合計所得金額が65万円以下であり、給与以外の所得が10万円以下であることです。例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となります。

控除額:27万円です。つまり、配偶者控除と同じように所得税がかからないようにする場合は、
基礎控除38万円+給与所得控除65万円+勤労学生控除27万円=130万円未満
となります。

[注意点]・証明書類のコピー
・103万円未満の収入である場合、そもそも所得税はかかりませんので、申請しても良いですが結果は変わりません。証明書類の準備の手間が勿体ないので、申告しなくても良いでしょう。

しかし、住民税に関しては100万円が
未成年の学生の場合はもともと非課税なので必要ないですが、20歳以上の学生の場合は100万円の収入を超えたら申告しておいたほうが良いでしょう。

No.1175 勤労学生控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁HP(2016年1月時点、著者調べ)

D:他の所得者が控除を受ける扶養親族等

例えば夫婦共働きの場合、扶養控除は夫か妻のどちらかしか受けられません。夫が控除を受ける場合、妻の方がこちらのD欄に書いておきます。書かなかったからと言って何か不利益が生じるわけではないですが、会社側もきちんと夫の方で申告してくれていると把握できるので、書いておいたほうが親切ですね。

住民税に関する事項

扶養控除申告書の一番下には「住民税に関する事項」というものがあります。16歳未満の扶養親族は所得税では扶養控除を受けられませんが、住民税では控除を受けられます。年末調整の結果は住民票のある各市町村へ送られることから、ここに書くことで会社が情報を通知してくれるのです。16歳未満の扶養親族(中学生までですね)がいる場合はここに記入をしましょう。

まとめますと、お子様は年齢によって、
・16歳未満→下の欄
・16歳以上→上の欄
と記入場所が異なりますので注意しましょう(記入用紙にも何年生まれまでが対象と親切に書いてあります)。

16歳未満の子がいても控除は受けられない?

ちょっと待った!16歳未満の子でも子育てはお金がかかるもの。それなのに所得税の控除は受けられないの?と気付く方もいるかと思います。実は、平成22年に児童手当(スタート当時は「こども手当」という名称でした)がスタートしたことで、所得税の控除は無くなりました。

児童手当はひと月につき、以下の金額が支給されます。
・0〜3歳未満 一律15,000円
・3歳〜小学校修了まで 第一子、第二子10,000円、第三子以降15,000円
・中学生 一律10,000円
*所得制限がありますので、詳しくは厚生労働省のリンクをご覧ください。

以前は16歳未満の子でも扶養控除がありましたが、児童手当の方が所得税の控除でお金が戻ってくるよりもはるかに大きい金額ですよね。児童手当は所得税とは関係無いですが、児童手当を支給する代わりに税扶養をなくすことでバランスを取っています。

児童手当について |厚生労働省
参照元:厚生労働省HP(2016年1月時点、著者調べ) これで記入は終わりです!記入がほぼない方もいれば、記入するところが多い人もいるかと思います。ひとまずお疲れさまでした!



記入間違いのあるある

では、最後に誤りが無いか確認しましょう。せっかく受けられる控除があるのに間違えたら意味がありません。ここではよくある記入間違いを紹介します。記入間違いした場合、会社の方が気付いてくれることを願うばかりですが、事前に防げることは防ぎたいですね。 ・所得ではなく、収入を記入してしまっている
→先程説明した、「収入」と「所得」が指すものが異なることを覚えておきましょう。

・扶養していない親族を記入
→子の扶養を申告する際に、夫と妻が共働きの場合、どちらかで申告します。しかし、どちらにも書いてしまうケースがありますので、必ず事前に夫婦で話し合ってどちらの扶養に入れるか決めておきましょう。

・子の記入箇所を誤っている
→扶養している子が16歳未満か、16歳以上かによって記入箇所が異なることは先述の通り。扶養親族に入れられるのは「16歳以上」のみとなりますので、小さいお子様を扶養親族欄に書かないように気をつけましょう。

・離婚したが子がいないのに寡婦に◯をつけている
→扶養している子がおらず、ただ離婚しただけでは寡婦も寡夫も特別の寡婦も該当しません。

・寡婦、特別の寡婦の誤り
→上記で離婚しただけでは寡婦控除に該当しないとお話ししましたが、死別の場合は「寡婦」・子供がいる場合は「特別の寡婦」と覚えましょう。

・一般障害、特別障害の誤り
→障害者控除は障害の種類・等級によって一般障害又は特別障害となりますのでご自身又は扶養親族の障害がどちらに該当するか不明な場合は国税庁に問い合わせてみましょう。

こんな場合は?

あるあるミスを回避できたものの、扶養控除申告書を記入する際に「こんな場合はどうすればいいのか・・・」と思うことがあります。基本的には国税庁に問い合わせをするのが一番良いですが、イレギュラーな例をいくつかご紹介します。

扶養親族が国外にいる

稀なケースですが様々な事情で扶養親族が国外にいる場合は、以下の2種類が必要と成ります。

・親族関係書類(扶養控除申告書提出時に一緒に提出が必要)
→海外での住民票などの戸籍のわかる書類の写し又は外国政府の発行した書類

・送金関係書類(年末調整時に提出が必要)
→海外に住んでいる扶養親族へその年において生活費や教育費などの送金した証明書類です。金融機関の書類又はその写し、クレジットカード発行会社の書類又はその写しなどです。

*翻訳書類が必要です。
*国によって発行できる書類の種類に様々なものがありますので、詳しくは国税庁にお問い合わせお願いします。
*留学をしている扶養家族の方で住民票を移している場合は非居住者となりますので提出が必要です。

国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)
参照元:国税庁HP(2016年1月時点、著者調べ)

国外居住親族に係る扶養控除等の適用について
参照元:国税庁HP(2016年1月時点、著者調べ)

扶養親族が自営業

扶養親族が自営業をしている場合、給与を受けている扶養親族と同じく必要経費を引いた所得が38万円未満であれば可能です。但し、この必要経費は給与所得控除の65万円ではなく、ご自身で計算して算出するものとなりますので記入した年間の見込み額が超えないように気をつけなければなりません。

103万の壁を越えたら配偶者特別控除

配偶者控除を受けられるのは所得38万円までですが、うっかり超えてしまったという場合、いきなり大きな税額が発生することはありません。実は「配偶者特別控除」というものによって段階的に控除額が変化していきます。配偶者特別控除は申請しなければ受けられないのですが、こちらは扶養控除申告書に記載欄が無く、保険料控除申告書というものに記入します。保険料控除申告書は年末調整の際に記入するもう1枚の書類です。

配偶者特別控除は、所得38万円〜76万円の間の配偶者であれば受けることができます。収入で言えば103万円〜141万円で、控除額は38万円〜3万円です。

しかし、先に述べたように、扶養の定義が2種類あり、社会保険の扶養は130万円未満の収入でないと扶養から外れてしまうので注意しましょう。

No.1195 配偶者特別控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁HP(2016年1月時点、著者調べ)

申告した所得より実際の所得が上回ってしまった!

配偶者特別控除を申請したものの、さらにその額を上回ってしまった!そんな時は確定申告で控除してしまった所得税を支払いましょう。どちらにせよ、税務署はチェックしていますのである日突然会社に連絡が来たりします。早いうちに対処しましょう。

平成28年からの改正事項

平成28年分の扶養控除申告書から、マイナンバーの記載が必要になりました。個人番号=マイナンバーのことです。マイナンバーとは、国民ひとりひとりに配布される12桁の個人番号です。これから社会保障や税、災害対策などに利用される予定です。

しかし、会社によって対応の仕方はまちまちで、扶養控除申告書には最初から記入せず後から集めるという会社も多いようです。会社からの案内に従って申告しましょう。

マイナンバー社会保障・税番号制度
参照元:内閣官房HP(2016年1月時点、著者調べ)

提出した後、何が起こるかも知っておきましょう

年末調整が終わると、12月支給給与の際に源泉徴収票が配布されます。源泉徴収票は提出した扶養控除申告書の内容と年末調整の結果が反映されています。皆さんが申告した様々な控除が反映されたものが、右端の「源泉徴収額」に反映されています。

また、12月支給給与の給与明細などには年末調整した結果、取りすぎていた、または、足りなかった所得税が控除額に反映されています。控除とは、マイナスするものなので、マイナスの表記でされていたら支給された金額です。逆にプラスになっていたら所得税が足りず、追加で引かれています。ほとんどの人の場合は戻ってくるので、いつもよりちょっと多いなと感じるでしょう。

一方、給与担当者は給与支払報告書という源泉徴収票と内容が一緒のものを各市町村に送付し、これを元に住民税が決まります。扶養控除申告書は住民税にも影響があり、住所変更したのに住所を以前の住所のままで提出してしまうなどすると、2箇所の市町村から住民税を二重に課税してしまう元となるので気をつけましょう。

所得税の還付(戻ってくるお金)がない事例

年末調整後、所得税が還付(戻ってくる)される場合がほとんどなのですが、中にはさらに引かれてしまった!という方も中にはいます。こんなことが考えられます。

・年の途中で扶養から外れた人がいる
→短時間で働いていた奥様がフルタイムで働き始めたなど
・ボーナスが極端に多かった
→年収ベースで見たら普段の給与から引く所得税では足りなかったことが発覚するので
・その他
→会社のシステム上のエラーなど会社によるもの

年内に上記に該当する方は数十万も引かれることはないですが、覚悟していた方が良いかと思います。年末に1年分が調整されるので還付の方がラッキーに感じるかもしれませんが、そもそも正しい納税額を計算して調整するだけなので損得ではないことを念頭に置いておきましょう。

間違っていたら再年末調整を!

もし、源泉徴収票を見て例えば寡婦に該当するのに「寡婦の項目に◯がついていない!」となった場合は、誤って計算されてしまっている場合があります。

源泉徴収票では控除の種類別の控除額は書いていません。最終的に控除額がいくらになりましたという金額のみです。ただ、該当する控除の種類(寡婦、障害者など)がある場合は◯がつく欄がありますので確認をしましょう。

もし間違いを見つけた場合、会社によっては1月に再年末調整と言って計算し直してくれます。タイミングによってできる場合とできない場合がありますので、早めに確認して申告しましょう。

また、扶養控除申告書を出した後の12月にお子様が生まれた場合など年末ギリギリに扶養している家族の情報が変わった場合も正しく申告する必要があります。速やかに会社に報告をしましょう。

正しく知って正しい申告を

いかがでしたか?扶養控除申告書について色々なことが関わってくるので、ひとつひとつ説明させていただきました。量が多くて驚いたかもしれませんが、みなさんにに関わっている項目はどれくらいあったでしょうか。該当する項目は控除が受けられるので忘れずに申告しましょう。

給与所得者は税金・社会保険の手続きを会社でやってくれますが、みなさんのプライベートなことまで全て把握しているわけではありません。親切に確認してくれればいいですが、みなさんが申告しないことにはわからないこともあります。

今までなんとなく記入していた書類や給与明細の所得税の税額、源泉徴収票にも興味を持って見てみると色々なことがわかってきます。これを機に税金への関心を高めて扶養控除で申告漏れを防ぎ、正しく所得税の控除を受けましょう。