注目!贈与税の申告漏れの多し?納税に失敗しないための基礎講座

贈与税の申告漏れがとても多いというのをご存知でしょうか?贈与ってどこからを指すのか難しいですよね。意外と贈与にあたるものって結構多いんです。申告漏れをしてしまうと、贈与税が課されるだけでなく延滞税もとられてしまったり、と大変なことになります。今後のご自分のために、贈与税について少し勉強してみませんか?



注意!贈与税の申告漏れ多数!

「そもそも申告せず」が86%!

国税庁では毎年相続税の調査状況についてレポートで公表しています。現在最新のレポートは「平成25事務年度における相続税の調査状況について」というものです。

平成25事務年度における相続税の調査の状況について
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ) レポート名に「相続税の調査」とありますが、実はこの中で贈与税の調査状況についても発表されています。それもそのはず贈与税は「相続税の補完税」とされており、相続税と贈与税は切っても切れない関係にあるからです。

国税庁でも贈与税の調査について、相続税と同じくらい重要視しており積極的に行っています。円グラフからも分かりますが、贈与税の無申告(=「申告漏れ等の非違件数」の状況)がなんと86.2%!申告していないにも関わらず、贈与があったことを探し当ててしまうとはさすがです。 申告漏れ財産の内訳は次のように発表されています。多い順にお伝えしましょう。

①現金・預貯金等(49.5%)・・・約107億円
②有価証券(31.4%)・・・約68億円
③その他(14.3%)・・・約31億円
④土地(3.6%)・・・約8億円
⑤家屋(1.2%)・・・約3億円

トータルでなんと約217億円もの申告漏れがあるというわけです。見て見ぬふりして放っておくなどできないほどの金額ですよね。しかもその約半分が「現金・預貯金等」の資産であるといいます。心当たりはありませんか?

国税庁は贈与税調査にも積極的

以前は相続税の調査に関してだけでしたが、ここ数年、国税庁では相続税だけではなく贈与税の調査も積極的に行うと公言するようになりました。上記のリンクから見ていただくと、その文言を確認していただけるかと思います。

平成27年度の税制改正により、より相続税が多くの人に課せられる制度になりました。実際相続税対策として生前贈与等を利用して相続財産額を減らそうとする人も増えています。そうした動きは至極当然のことですし、税制改正により予想もされておりました。

上記の調査報告は平成25年度のものではありますが、税制改正の行われた平成27年度より、更に厳しく積極的に調査されているであろうことは予想に難くありません。

「これくらいなら申告しなくても大丈夫だろう」という思い込みで「無申告」の違法行為とされてしまうケースは珍しくありません。金融資産を移動することがあった場合、後々トラブルにならないようにするためにも適正な申告をされることをおすすめします。 それでも「どこから贈与?」と疑問に思う方も多いので、贈与の定義を中心に、贈与にまつわるトラブルや贈与税の知識等々、これからお話しさせていただきます。興味のある方はお付き合いください。



どこから贈与になってしまうの?

贈与の定義って?

「贈与」の線引きって曖昧な気がしていませんか?しかし間違えると上記のように税務署に違法とされ、贈与税をとられてしまいます。そこで国税庁の定める「贈与」の定義から紹介していこうと思います。

「贈与税がかかる場合」とはどんなときでしょう?国税庁ではこれを「個人から財産をもらったときにかかる税金」である、と定めています。(会社などの法人からもらった場合は贈与税ではなく所得税になります。)

逆に「贈与税がかからない場合」とは?これについて国税庁では実に細かく定義しているのです。一部を紹介しましょう。

①夫婦、親子、兄弟姉妹等の「扶養義務者」から生活費や教育費をもらった場合
②個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品
③直系尊属から受けた(一定の要件を満たす)住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金、の非課税部分

等々と定義されています。他にもありますので気になる方は以下のリンクからご覧ください。

贈与税がかかる場合
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ)

贈与税がかからない場合
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ)

贈与があるかも?とされるのは・・・

相続税が突発的に生じる納税義務だとしたら、贈与税は計画的な行動の結果、生じる納税義務だと言えますよね。そういう性質から税務署では預金や不動産などで名義変更はないか、所有者は変わっていないか、という点に非常に注目しています。

かなりの確率で「贈与があったであろう」とされるのは次のときのようなことがあった場合です。

①相続が発生したとき → 生前贈与を疑われます。
②退職金を受け取ったり、土地を売って多額の資金を手にしたとき → 誰かにあげていないかと疑われます。
③事業をスタートさせたとき、住宅を購入したとき、高級車等の高価な買い物をしたとき → 誰かからもらったのではないかと疑われます。

等々、こういったケースがご自身にあった場合は税務署から問い合わせが入るかもしれないと思っておいた方がよろしいかと思います。すぐに答えられるように資金の流れを明確にしておきましょう。

「実はこれも贈与」を紹介

①名義預金には最終的に贈与税がかかる!

・・・「名義預金」ときいて心当たりのある方も多いのではないでしょうか。「名義預金」とは名義が自分の預金になっていても実際の資金の持ち主は親である、というような預金のことです。

「子供のために」と子供の誕生から毎年貯めてきた貯金であったとしても、これを子供の成人を機に子供にあげたとしたらそれは「贈与」となり贈与税がかかります。

また親の名義で作った預金を途中で子供の名義に変えた、としましょう。この時には特に贈与税などの税金はかかりません。しかし贈与の事実がないまま(子供が名義変更を知らず、資金を受け取ったという意思表示がないまま)親がなくなったらどうなると思いますか?この場合は「相続税」がかかってきます。 ②扶養義務者からの教育資金、生活資金は非課税。しかし・・・

・・・さきほど「贈与税がかからない場合」の①でもお伝えしたように、親などからもらった教育資金や生活資金については贈与税がかかりません。しかし、それはあくまで教育資金や生活資金として「使い切った場合」です。使い切らずに預金等で残しておいたりすると贈与税の対象となってきます。

こういうパターンがあります。「大学4年分の必要資金をまとめて渡している」というケースです。上記でもお話ししていますが、まとまった資金があるからといって、それで株式投資をしたり、余るであろう資金を預金してしまったりすると贈与税の対象となってきます。

そうならないようにするためにも「その月ごとに必要な分だけ仕送り」する方法をとられることをおすすめするということがよくあります。

ところで「親へ仕送りをしている」という方もいらっしゃることでしょう。「扶養義務者」から生活資金として、仕送りをされているということであれば贈与税はかかりません。もちろん1,000万円、1億円というような明らかに仕送りの域を超えている場合は別です。あくまで生活費として妥当であると考えられる金額の範囲内、ということでお考えいただければと思います。

たまに「親への仕送りであっても贈与税がかかってしまうのだろうか」と不安になられる方もいらっしゃいますので補足しておきました。

③一人当たりが少額の贈与でも総額が超えれば贈与税がかかる

・・・贈与税は基本的に「暦年課税」というシステムととっています。これは1年あたり110万円までは非課税ですが、110万円を超える部分については贈与税が課される、というものです。

極端な例ですが、10万円を12人からそれぞれもらったと仮定してみてください。この場合、1人あたりは10万円という金額ではありますが、総額は120万円になりますね。ですから110万円を超える10万円については贈与税を支払わなければならない、ということになるのです。

年間で贈与された金額がトータルでいくらになるのか?110万円を超えたら必ず申告が必要です。うっかりして申告をされない方もいらっしゃいますので、よくよくご注意いただきたいと思います。 ④子の資金援助により、親が所有の家の増築をした場合

・・・よくあるケースですね。実際、金融機関や建築会社などでもすすめることが多いパターンです。ご存知ない方も多いのでお話しさせていただこうと思います。

ずばりこのケースは「子どもから親への贈与」にあたり、親に贈与税を納める義務が生じます。もし金融機関や建築会社からそういった話を聞いていなかったとしても(普通は話してくれないものです)、納税義務はありますのでご注意ください。

なぜ贈与になるのか、といいますと「増築部分の所有者が親」だからです。つまりこういった事態にならないようにするためには「共有登記」をしておくことが必要になってきます。分かりやすく言えば、増築前の家屋は全て親の所有ですが、増築後に関しては増築代金分の比率を子どもの所有ということにして所有権の登記をするわけです。

面倒に感じられるかもしれませんが、これをすることによって高額な贈与税を回避することができます。もしこういったケースに心当たりのある方は専門家である税理士さんにご相談いただくことをおすすめします。 意外と知られていないのによくあるパターン、という例をいくつか紹介させていただきました。心当たりのある方もいらっしゃったのではないでしょうか。

贈与税を納めるべきかどうかということについて、教えてくれる人はいません。自分自身で気づき、行わなければならないことなのです。シビアではありますが、自分を守るためにも贈与税の知識を身につけていただけるとよいのではないでしょうか。

続いて贈与税の仕組みなどについて詳しくお話ししていきましょう。

贈与税について知ろう

贈与税の「暦年課税」とは?

まず贈与税の基本的な知識です。贈与税の課税方法は2つあります!「暦年課税」と「相続時精算課税」という方法の2つです。「相続時精算課税」については一定の要件に該当した場合のみ使える方法なので基本的には「暦年課税」だと思ってください。

贈与税には1年間(その年の1月1日から12月31日までを指します)に使える基礎控除額として110万円という枠があります。もし1年間にもらった財産総額が110万円以上であるならば、その超えた部分について贈与税がかかります。110万円以下であるならば贈与税はかかりません。申告も不要です。

これが「暦年課税」というものです。「110万円までなら非課税って聞いたことがある」という方もいらっしゃるでしょう。ベーシックな贈与税の納税方法がこの「暦年課税」なのです。

暦年課税
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ)
では「相続時精算課税」とは何ぞや?と思われた方のために、ここで説明しておきましょう。「暦年課税」は毎年110万円まで控除額があるというものですが、「相続時精算課税」であれば総額2,500万円までが非課税となり、2,500万円を超えた部分について贈与税を支払います。

これは1年間に限らず、数年にわたっての贈与でも総額が2,500万円までならば適用できます。もちろん「暦年課税」との併用はできません。また1度選択すると「暦年課税」に戻すことはできませんので、2,500万円の枠を使い切ったからといって、その後110万円の控除を再び使うことはできないのです。

「暦年課税」の場合、1年の贈与総額が110万円以下の際には申告する必要はありません。しかし「相続時精算課税」を1度でも選択しますと、仮にその年に「納税する額がなかったとしても」申告する必要が生じます。

もう一つ注意点をお伝えしておきます。「相続時精算課税」を利用した財産については、相続時に相続財産として加算され相続税額を計算されます。したがって相続税対策としては向かない方法といえます。

このように「相続時精算課税」を1度選択すると様々な制約が出てきますので、本当に有利だと思われる場合のみ選択されることをおすすめします。

相続時精算課税
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ)

非課税になる方法がたくさん!

平成27年度の税制改正で、相続税の課税対象範囲が広がったことから「贈与」という形で財産を生前に移動させようという動きが活発になっています。また政府も資産移動を促すべく、様々な制度を行っています。その制度について紹介していきましょう。 ①教育資金の一括贈与

・・・平成25年4月1日から平成31年3月31日までという期間限定の制度ではありますが、直系尊属から受けた贈与で、教育資金を目的とし信託銀行等の金融機関に信託をした場合、1,500万円までが非課税になります。

これまでは扶養義務者ではない祖父母からの教育資金の援助については贈与税の対象となっていたので、贈与税をとられないようにするためには、暦年課税の基礎控除を利用して贈与するような形をとらざるを得ませんでした。(※暦年課税を利用すると時によって、定期贈与とみなされ相続時に相続税が課される場合もあるのでやり方には注意が必要です。)

しかしこの制度によって「教育資金」としてであれば孫へのまとまった資金の移動が容易になったのです。相続財産の軽減にもつながるということもあり、この制度がスタートして金融機関でこの手続きをする人が多くなりました。(※直系尊属なので祖父母だけではなく、父母も含まれますので誤解のありませんようにご注意ください。)

贈与される子供の親にとっても教育費はかなりの出費となっていくものなので、この制度を使って援助を受けられたら経済的にも精神的にもかなり助かりますよね。

一方で注意も必要です。この制度には「30歳未満」という年齢制限があります。「30歳まで」に教育資金として贈与された財産を使い切らなかった場合については、その残りに贈与税をかせられてしまいます。そして当然ですが「教育資金」目的以外の資金としては引き出すことができません。

「教育資金」とは未来のものであり、予定のたたない不透明な資金ですよね。そのお子さんによっては、あまり学業に熱心でないこともあるでしょう。1,500万円までならこの非課税措置を利用することは可能ですが、もし使い切らなかった場合、贈与税は税率が高いので相続税よりももしかしたら高い税を払うことになるやもしれません。

またこの制度には他にも注意点があります。一度金融機関と契約したら、他の金融機関でこの制度は使えません。そして1,500万円という枠はそのお子さん一人当たりについての枠ですので、もしご自身の子供の配偶者側のご両親にも贈与の意志があるならば、話し合って決めることをおすすめします。

もちろんこの制度を利用せず先ほどお伝えしたような「暦年課税」を利用して、ささやかに贈与するのも一つの方法です。後々トラブルにならないようにするためにも、制度を利用する際にはメリットだけではなく、デメリットもしっかり把握した上で利用していただければと思います。

国税庁のHPから分かりやすいパンフレットが出されていますので、手続きなどの詳細を知りたい方は以下のリンクからぜひ参考にしてみてください。

祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ) ②住宅取得等資金の一括贈与

・・・これまで住宅資金の贈与については「相続時精算課税」を利用しての贈与となっており、また贈与者の年齢制限などもあり、使えない人もいました。しかしこの制度については贈与される側が20歳以上という決まりはありますが、直系尊属からの贈与であれば年齢の制限なく使うことができます。

こちらの制度については平成31年6月30日までという期間限定となっています。住宅取得等の資金贈与であれば最大3,000万円まで非課税になるという制度です。制度を利用する時期によって非課税金額が異なります。

もし消費税率8%のときに住宅を取得したり、個人間での売買により中古物件を取得した場合ですが、「質の高い住宅(後ほど詳細をお話しします)」と認定された場合、非課税となる上限は下記のようになります。

2015年1月~12月末・・・1,500万円
2016年1月~2017年9月末・・・1,200万円
2017年10月~2018年9月末・・・1,000万円
2018年10月~2019年6月末・・・800万円

この制度で最大となる3,000万円は、2016年10月から2017年9月までに消費税率10%で住宅を取得し、かつ「質の高い住宅」とされた場合の方が利用できます。
さきほど「質の高い住宅」とありましたが条件が決まっています。

〇高レベルの省エネ住宅であること
〇耐震性の高い住宅であること
〇バリアフリーになっている住宅であること

この3点のいずれかを満たしていることが必要となります。詳細につきましては以下のリンクを参考にしてください。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ) ③結婚・子育て資金の一括贈与

・・・2015年4月1日から2019年3月31日までと、これまた期間限定の制度となっています。「教育資金の一括贈与」と同様「結婚・子育て」を目的として信託銀行等の金融機関に信託をした場合、1,000万円までが非課税となる制度です。

ただし父母や祖父母などの直系尊属からの贈与であり、受贈者は20歳以上50歳未満の方に限られます。50歳になった時点で使い切れなかった贈与財産については贈与税を支払うことになります。

結婚資金については300万円が限度とされています。挙式等だけでなく、一定期間の家賃や引越し資金等にも充当することができます。

子育て資金とありますが妊娠・出産に対しても対応しており、不妊治療や妊婦健診、分娩費用、産後のケア等にも充当することができるようになっています。

詳細がパンフレットになって国税庁のHPでアップされていますので、興味のある方は下記のリンクから参考になさってください。

父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ) ところでこの制度の名前を聞いて「親からもらった結婚資金って本当は贈与税がかかるの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれませんので補足しておきますね。

相続税法の中に、個人から受ける香典や年末年始の贈答、祝物、見舞い等、法律上贈与に該当するものであったとしても、社会通念上相当と認められるものについては贈与税を課税しないという定めがされています。ですから「社会通念上相当」の金額であるならば、挙式等のために親からもらった結婚資金については贈与税はかかりません。

また人によっては「ご祝儀でかなりの金額をもらってしまった」という場合もあるでしょう。その際は税務署から指摘を受ける可能性があります。友人からの祝儀について指摘された場合は贈与税が、もし取引先等の会社などからもらった祝儀については給与所得扱いとなり所得税が課されます。

その際の贈与税については暦年課税の基礎控除(110万円)が使えますので、110万円を超える部分について贈与税を払うことになります。



贈与税の時効

豆知識となりますが、ケースとしてありますので「贈与税の時効」についてもお話ししておこうと思います。「時効があるの?」と一瞬喜んだ方もいらっしゃるかもしれませんが、「時効」という言葉に惑わされないでいただきたいという願いからお話しさせていただきたいと思います。

贈与税に時効はあるが?

「贈与税には時効があるから」と思って無申告のまま時効を待つ人もいるかもしれません。一応、贈与税の時効は「6年」と決まっています。しかしこれはあくまで「贈与であると気付かず申告することを忘れていた場合」に限るのです。

もしわざと申告せずに贈与税を支払わなかったとしたら、この時効はなんと1年間延長されてしまうのです!6年ではなく7年になってしまうというわけです。贈与というのは「突発的」な相続と違って「計画的な」行動なのですから、知らないうちに贈与が行われるということは基本的に考えられませんよね。

贈与税に時効はありますが、それはあくまで申告の猶予としての期間として考えるべきかもしれません。次の項目でお話ししますが、贈与税の納税は決して逃れられる義務ではないのです。

時効はないものとしましょう・・・

贈与税をめぐって税務署を相手に裁判を起こしたケースは存在します。そしてその場合ほとんど勝つことはできていません。税務署が「これは贈与である」と納税義務を主張したときには、その通りと受け入れるしかないのです。

既述しましたが、贈与が判明することが多い場合として「相続が生じたとき」があげられます。よくあるのが、夫からもらったお小遣いをへそくりとして自分名義の預金口座に貯めていた場合です。これは名義預金として見なされ夫の相続財産となり、税務署からは相続税を支払ってくださいと言われます。

もし贈与税の時効について知っていた場合、元々税務署から何か言われたら「これは夫からもらったもの」であり「贈与税の時効はすぎているから支払う必要はない」と主張する人もいます。しかしこれを税務署に認められるのは難しいのです。

よくあるパターンですが、夫からちょくちょくお金をもらっている奥様が贈与契約書をその度に結んでいるでしょうか?よほどの金額を受け取っている場合は分かりませんが、普通はあまりしていませんよね。

「贈与」とは一方的に「あげます」というだけでは成立しません。もらう側の「いただきます」という表明があって初めて成り立つのです。ですから「贈与契約書」があることは立派な贈与の証明となります。贈与契約書がない場合、贈与を認めてもらうのは難しくなります。

税を納めなかったら?税率は?

贈与税の税率

贈与税は相続税よりも高い税率となっています。どれくらい高いのでしょうか?実際に税率を見ていきましょう。

〇贈与税 

・・・「一般贈与財産用」の税率と「特例贈与財産用」の税率があります。ここではその年において20歳以上の者に、直系尊属からの贈与があった場合に適用される「特例贈与財産用」の税率を紹介していきます。※()内は控除される金額です。

200万円以下・・・10%
400万円以下・・・15%(10万円)
600万円以下・・・20%(30万円)
1,000万円以下・・・30%(90万円)
1,500万円以下・・・40%(190万円)
3,000万円以下・・・45%(265万円)
4,500万円以下・・・50%(415万円)
4,500万円超・・・55%(640万円)

その年の贈与総額から基礎控除の110万円を引いた金額を上記に当てはめて計算してください。例えば500万円を贈与されたとしたら、

500万円ー110万円=390万円
400万円以下ですから
390万円×15%-10万円=48.5万円

となりますね。

贈与税の計算と税率(暦年課税)
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ) 〇相続税

・・・贈与税とどれくらい税率が違うのか比較するために相続税についても見てみましょう。

1,000万円以下・・・10%
3,000万円以下・・・15%(50万円)
5,000万円以下・・・20%(200万円)
1億円以下・・・30%(700万円)
2億円以下・・・40%(1,700万円)
3億円以下・・・45%(2,700万円)
6億円以下・・・50%(4,200万円)
6億円超・・・55%(7,200万円)

贈与税の高さは一目瞭然ですよね?

相続税の税率
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ)

申告しなかったら?

また贈与があったにも関わらず、申告せずにいることが判明すると加算税、延滞税をとられます。あまりにも悪質とされた場合には刑事罰を課せられることにもなりかねません。

例えば申告したけれど、税務署に指摘されて修正申告した場合でも「過少申告加算税」として「新たに納める税額」の10%もしくは15%(重加算税は35%)をとられる場合があります。延滞税がかかる場合は併せて納めなければなりません。

申告を忘れ、期限がすぎてから申告した場合には「無申告加算税」として「納めるべき税額」の15%もしくは20%(重加算税は40%)がかかる場合があります。もちろん延滞税がかかる場合は併せて納めます。

間違っていても申告した方が加算税が少なくてすむということが分かりますね。

申告と納税
参照元:国税庁(2015年10月著者調べ)

まとめ:必ず申告しましょう!

ここまで贈与税にまつわるお話をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。どのような場合が贈与にあたるのか、なんとなくでも分かっていただけましたでしょうか。

税務署に指摘されてから納めたのでは、かなり高い税金を納めることになるというのを今ではもう分かっていただけたことと思います。

なるべく贈与税がかからないようにするために、しかし贈与が生じたときには申告して納税していただけるようにとお話ししてまいりました。それを少しでもお伝えできていたら幸いです。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。