老後生活費の検証!貯蓄を50年保つ生活をシミュレーション

超高齢化が進行中の日本では「老後生活」への不安が増し続けています。「自分はどうなっちゃうんだろう?」と老後の心配ばかりしていては、「たった一度きりの人生」を台無しにしてしまいかねません。現在の高齢者の家計収支の調査結果を基に「老後生活費」を検証、50年でも安心の老後生活費の試算をしてみます。



老後生活費への心構え

「老後生活費」っていくらかかるの?と不安に思っている人は多いでしょう。「ねんきん定期便」を受け取るたびに「これしか年金ってもらえないのか」と絶望的な気持ちになる人もいるかもしれません。夜寝る前に、ふと「このままの生活で老後はやっていけるの?」などと不安にさいなまれる人もいるかもしれません。

かくいう私は「こんなもんか」とガッカリはしますが、「ま、何とかなるさ」と「何とかするぞ」という2つの心構えで受け止めるようにしています。



高齢者夫婦無職世帯の収支

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)平成26年(2014年)平均速報結果の概況」を基に、「高齢者夫婦無職世帯」の家計収支の実態を見てみましょう。

2人世帯で、世帯主の年齢(平均)は74.6歳です。

■高齢者夫婦無職世帯【収入】
・可処分所得:177,925円

※可処分所得とは、課税前の収入から、支出が義務付けられている税金と社会保険料を差し引いた残りの所得。自由に使える手取り収入のことです。

■高齢者夫婦無職世帯【支出】
→消費支出計:239,485円
・食料:60,869円
・住居:16,158円
・光熱・水道:21,042円
・家具・家事用品:9,788円
・被服及び履物:6,940円
・保健医療:14,635円
・交通・通信:26,825円
・教育:9円
・教養娯楽:25,968円

→その他の消費支出:57,250円
・諸雑費:20,813円
・交際費:28,749円
・仕送り金:1,147円

→非消費支出:29,422円
・直接税:12,582円
・社会保険料:16,811円

■毎月の赤字=-61,560円
〔可処分所得-消費支出〕

家計調査年報(家計収支編)平成26年(2014年)平均速報結果の概況
参照元:統計局HPより(2015年11月現在、筆者調べ)

赤字を減らすためのアドバイス

毎月61,560円の赤字を出し、せっかくの老後資金を取り崩してしまっているようです。見直しすべきポイントについて以下、解説していきたいと思います。

■食料(食費)

高齢夫婦無職世帯の支出ではどうしても「食費」の比率が高くなりがちです。年齢的に台所に立つのも億劫になるようですから「自炊」が減って、出来合いのものを購入したり、外食が増えたりすることが原因として考えられます。現在の食費の支出は60,869円。できれば夫婦で食費を4万円以内に抑えていただきたいところです。

■交通・通信

現在の交通・通信費は26,825円です。統計費目では細かい内訳が分からないのですが、通信費を節約するのなら携帯電話やインターネットの契約の見直しが有効です。交通費としてタクシーなどの利用が多いようなご家庭では、できるだけバスや電車などの公共交通機関を使ったり、健康のために短い距離なら歩くなど、体に無理のない程度に節約を心がけてください。ここは1人10,000円以内を目指し、ご夫婦では20,000円の範囲を目安にしてはいかがでしょうか?

■教養・娯楽費

教養・娯楽費は25,968円となっています。こちらもご夫婦で20,000円(10,000円/人)を目安にしましょう。

■諸雑費と交際費

諸雑費と交際費を合わせた額が49,562円にもなりますが、30,000円(15,000円/人)を目安にしましょう。

貯蓄を50年長持ちさせるには

前項「赤字を減らすためのアドバイス」を元に生活費を見直すだけで、以下( )内の金額を毎月節約できることになります。

・食費:60,869円→40,000円
 (20,869円)
・交通・通信費:26,825円→20,000円
 (6,825円)
・教養娯楽費:25,968円→20,000円
 (5,968円)
・諸雑費・交際費:49,562円→30,000円
 (19,562円)

→節約額合計:53,224円
→毎月の赤字:-8,336円
〔-61,560+53,224円=-8,336円〕

■節約前赤字(年)
 -61,560×12カ月=-738,720円

■節約後赤字(年)
 -8,336円×12カ月=-100,032円

月の赤字-61,560円を-8,336円にまで減らすことができます。1年で70万円を越える貯蓄を取り崩していたのが、年10万円程度の取り崩しで済むようになります。仮に退職した時点の貯蓄が1,000万円(退職金のみだったと仮定)だった場合、毎年70万円ずつ取り崩すと14年で底をついてしまいますが、10万円ずつだと100年間、貯蓄0(ゼロ)にはならない計算になります。

貯蓄(退職金のみと仮定)1,000万円を50年で使いきると仮定すると、年に20万円の赤字までなら許容範囲です。月額なら1万6,000円までです。65歳の方が100歳まで生きた場合は老後生活期間は35年ですから、年28万円、月2万円程度の取り崩しでほぼ使いきる計算です。

ただし、病気やケガの入院などの出費に保険で備えられないような方の場合には、やはり余裕をみて「老後50年」想定で「現在の貯蓄額」をどれくらい保持し続けられるかを試算してみるのが「安心」につながるかもしれませんね。

毎月の赤字額を減らすだけで相当額の「貯蓄取り崩しの予防」になるのですから、家計の見直しは侮れないと思いませんか?

老後生活費の「節約」と「貯蓄保持」

65歳から毎月7万円の「取り崩し」を75歳まで10年間続けていたとしたら、すでに1,000万円の貯蓄は160万円まで減ってしまっている計算になってしまいます。

・7万円×12カ月×10年=840万円
・1,000万円―840万円=160万円

ちなみに、こちらの統計データの世帯主の年齢は74.6歳(約75歳)ですから、寿命を90歳と仮定すると残りはおよそ15年です。残りの15年で160万円の貯蓄を取り崩し続けると仮定するなら、毎月の赤字額は8,889円を目安にしなければなりません。

・160万円÷15年÷12カ月=8,889円

貯蓄が1,000万円しかないと仮定しているので、実際にはもっと沢山貯蓄がある(3,000万円とか4,000万円とか)のかもしれませんが、こうやって簡単な足し算と引き算、掛け算と割り算を電卓でするだけで、老後の生活の目安、「貯蓄を長持ちさせる方法」が分かるのです。

介護、病気やケガによる入院など、思わぬ出費が出る場合もある老後生活ですから、できるだけ「貯蓄を保持し続け」そうした出費に備えていれば、すくなくとも「老後の経済的な不安」を少しは軽減できるはずなのです。

現役世代が考えるべきこと

20代~40代の現役世代の方はあまり「ねんきん定期便」の額を「絶対的な数字」と思いこまないようにするべきだと考えます。年金の支給額はその時々の社会情勢や経済環境によって変わるものだからです。

もちろん、「老後の生活費の目安」を立てるために毎年「年金の支給予定額」がご丁寧に郵便で送られてくることに「便利さ」はあります。しかし、私はむしろ「こんなのいちいち送る費用が無駄!こんな通知はいらないから、この定期便にかかっている費用分を私の年金支給額に上乗せしろ!」と憤っているのです。

「消えた年金問題」に代表される社会保険庁が引き起こした「年金不安」という行政の大失態を「ねんきん定期便」を送ることで「事前に金額を知らせるから、おかしなところがあったら自分から申告してくださいね。無視していたらそれはあなたの自己責任ですよ」と国民に責任を擦り付けようとしているとしか思えないのです。

現在の「不条理な年金システム」が私たちの子供や孫に引き継がれていってしまわないよう、もっと「安心できる年金システム」を声を大にして要求すべきなのではないでしょうか?



高齢者に対してできること

最近は70歳代、80歳代でも若々しくお元気な方も多くて、「高齢者」と呼ぶのはどうかな?と躊躇してしまうことも多いですよね。私の両親もともに70歳代半ばですが、年々「年取ったなぁ」と感じる場面は増えてはいるものの、とりあえず元気でいてくれているので娘としてはありがたいです。

しかしながら、「生活」と「お金」関係の管理に関しては結構危なっかしいところが増えて「あれ?」と思うことはどうしてもありますから、離れて暮らしている方は特に以下の点に注意してあげて欲しいと思います。

生活の見守り

買い物が面倒になったせいなのか、通販の「高額そうな食材」のカタログが大事にとってあって、冷凍庫にそうしたところから調達したと思われる「高級食材」が見つかったり、「もうこれは捨てないと危ないんじゃないの?」というような古い(ほとんど壊れかけた)アイロンやドライヤーを使い続けていたり、「ほんのちょっとした」ことですが、危うさを感じることが多くなってきました。

特に70代、80代の親御さんや近しい方がいる人には、できるだけ生活の様子を気にかけてあげていただきたいと思います。そして、「このアイロンとドライヤー、危ないから新しいの買ったら?」と声をかけるだけでなく、できたら「新しいものを一緒に買いにいくなどして、古いものを廃棄するところまで」面倒をかけてあげて欲しいのです。私は年に2、3回両親の家に2~3日ずつ滞在するのですが、その間は家の中をくまなく見て回り「これは?」と思うものは滞在中にできるだけ解決するようにしています。

家電などはついつい放ったらかしにしてしまいがちですし、商品を選ぶのも億劫のようです。しかし、そのまま使い続けて火事でも出されては結果的には娘の私も後処理に大変な目に合うわけですから、親孝行というよりも「自分自身の生活を守る」ためだと思えば大した手間でもありません。

買い物のサポート

重たいもの、かさばるものなどは今はインターネットで注文するなどして自宅で受け取れるサービスもあるのですが、高齢になるとそれすらも「面倒」だったり「間違えて」しまったりすることが多くなるようです。

私は生活必需品の中で「保存がきく」「保管スペースがある」品物については、実家に滞在する際にまとめて注文をしてしまいます。「置く場所」も確保して、簡単な「品名」と「在庫数」のリストを作っておけば、次の訪問の際に「どれくらいのペースで消費しているか」も把握でき、「注文の時の必要数量の目安」にもできます。手間だと思われるかもしれませんが、私は自分の家の生活必需品も同じように管理しています。老親の生活スタイルと私とは異なる部分もありますが、人間の生活というのは「必要不可欠」なものを厳選していると、それほど大きな違いはないように感じます。

家の中の各場所を回って、まとめ買いできそうなもの、買い物に出かけた際に、つい買い忘れてしまいそうなもの、ネットで買った方が安いもの等をメインにリストアップしてみてください。

・台所用品
・洗面・バス用品
・トイレ用品
・掃除用品

一回リストを作成してしまえば次からはリストに沿って注文を入力していくだけなので、思っているほどには大変ではありませんし、予算の管理がしやすくなり、節約が楽になる場合もあります。

リストを作るようになってから「あ、あれがもうない!」と慌てることも、買い物から帰ってきて「あ、あれを忘れた!」ということもなくなりました。

こうしておけば、日常の買い物は日々の「食料」の買い出しだけでだいたい済みます。通勤鞄を抱えてかさばる買い物をしなくて済むのが何より助かりますし、以前は土日に買い出しなどに出かけていましたが、その時間も「好きなこと・したいこと」に使えるようになりました。

貴重品や大切な情報の管理

貴重品や年金・納税関係の書類、病院関係の書類、家族や友人、親戚関係からの手紙や連絡先リストなど、あちこちにバラバラにしまい込まれていたり、出しっぱなしで放置されていることも多くなるようです。

我が家の場合は色違いの文箱を3つ用意して、「黒」は年金・保険・お金関係、「赤」は病院関係、「紺」は家族や親せきの連絡先、手紙、孫のスナップ写真、などと整理の手伝いをし、それぞれの箱の置き場所「定位置」を決めておくようにしています、何かあった時に「やっぱり私自身安心です」。

両親の家に滞在した時に箱の中をチェックして、足りない月の情報が別の場所に置きっぱなしになっていないか確認してきちんと指定の箱に集めます。また、保存が不要と思われるものの廃棄も定期的に行って箱が一杯にならないように注意しています。

高齢者のお金の使い方に注意

前項「高齢者夫婦無職世帯の収支」でもご紹介しましたが、意外と節約できるポイントがあるのに放置されていることがあるものです。現役世代の時と同じような感覚でお金を使っている高齢者は意外に多く、貯蓄が底をつく頃には年齢も70、80歳代に達し、そこで大病をしたりすれば一気に生活に困窮する人も増えてくることが容易に想像できます。

各費目の予算を書き出し、通信費の節約などは契約変更まで手続きをお手伝いしてあげましょう。節約効果が見え始めると「納得・安心」して「家計管理の継続」にも意欲が出てこられるでしょう。

親御さんの性格にもよるかと思いますが、お金のことは「子供に知られたくない」と考える方も多いようです。実際、我が家でも両親が60歳代の間は「余計な詮索をするな!」と拒否されるばかりでしたが、70歳を越えて、徐々に心細くなってきたのか、ようやくここ2~3年は私の話を素直に聞いてくれるようになりました。

はじめは「通帳の記帳」からのスタートでしたが、正直、「こんなに貯蓄を取り崩しちゃって!」と腹立たしく思うこともありましたが、そこはグッとこらえ、過去を責め立てないことです。責めたところでどうにもならないし、お互いに嫌な気分になるだけです。淡々と今後の生活のために「するべきことを事務的に」こなしつつ、「費目ごとの予算」を一緒に決めて、「このまま今の調子で暮らしていると将来どうなるか」を根気よく説明してあげてください。

「孫のため」に必要以上の「出費」をしてしまうことも多いですが、そのあたりは私も「目をつむるようにしています」。その代りに「高級食材」のネットでのお取り寄せや「それ本当にいるの?」というような健康補助食品類(サプリメントなど)などを見つけた時は、「これいくらだったの?」と確認、継続購入はやめるようにできるだけ優しく促すようにしています。

サプリメント類は、病院で処方されている薬と合わない場合もありますから、注意してあげてください。私自身もビタミンCやカルシウム(ビタミンD)のサプリメントを補助的に服用しているので、全てを否定するわけではありませんが、特に高齢の方の場合には病院の先生にも相談してから購入するなどの対策は必要かもしれません。

認知症などの症状が深刻な場合を除き、高齢者の財産の全てを管理する必要はないでしょう。むしろご本人達の自主性に任せてあげた方が「老化防止」にもいいと思うのです。

ほんの少し日常のお金の使い方には気を配ってあげて「どうしても」が必要な部分だけは手伝う、というサポートを私は心がけていますし、同じような境遇の方にもお勧めしたいと考えています。私の場合は親孝行心からではなく「私自身が安心したいため」です。

まとめ

私の老親も、ともに70歳代半ばを過ぎ、年々「足腰が弱ってきたな」「食事作りが面倒になってきたんだな」などという「老化の兆し」が増えてきています。

会うたびに両親の「老い」を感じるばかりで、その度に娘の私が「不安」にさせられることもありますが、一方で、「老い」は誰にでも訪れる自然現象なので「ジタバタしても無駄なんだ」という妙に悟った心持ちにさせられることもあります。

右肩上がりの経済、豊かな時代を駆け抜けた現在の高齢者も、時代に合わせた「節約」意識が求められています。彼らの暮らしぶりから次世代の高齢者である私が「学ぶ」機会も多いものです。

若い時から蓄財に努めていた高齢の方が趣味に旅行に、冷え込んだ消費のけん引役となっているケースもある一方で、「身の丈に合わない暮らし」で貯蓄を取り崩してしまっている高齢者も沢山います。せめて身近な高齢者、老親には「目を配り」必要に応じて「少しだけ手と口を出そう」と考えています。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。