代襲相続<知っておくべき相続人の選定方式>ポイントを解説!

代襲相続って知っていますか?何か知っているようでも、実は良く分からないのが法律用語ですね。代襲と聞くと「代わりに襲ってくる」と書きますね。何か怖いような気がします。相続人が何かの理由で相続できない状態になると、代わりに相続しないといけない相続の制度なので怖いです。今回は、代襲相続についての重要ポイントを解説しましょう。



代襲相続制度

代襲相続とは

代襲相続とはいったい何でしょうか?これは、相続にかかわる制度のことです。被相続人(亡くなった方)の相続財産を相続する場合、相続人が相続開始前に既に亡くなっているような時に、その相続人の子が代わりに相続人になることをいいます。

仮に代襲相続人となるべき子も既に亡くなっている場合は、子の子、つまり被相続人から見たら孫に相続権が移動します。このことは民法第887条2項に規定があり、相続人となった代襲者の意志では断ることができません。

代襲相続とは、相続人に代わって相続人になること、と考えていただいて構いません。代襲相続が発生する要件は他にもありますが、これから順を追って重要なポイントをご説明していきます。

民法
参照元:法務省(2015年11月、著者調べ)

代襲相続の範囲

代襲相続は延々と続くものではありあせん。ここまででお終い、という範囲があります。相続人が被相続人の直系卑属であれば、子から孫、孫からひ孫という具合に限りなく続きます。

しかし、相続人が相続順位第3位である兄弟姉妹である場合、代襲されるのはその子まで、被相続人から見たら甥や姪までが相続の範囲となっています。それ以降の相続の移動はなく、代襲相続は打ち切りとなります。

代襲相続を代襲することを、再代襲相続といい、民法第887条3項に規定があります。

養子の代襲相続について

養子は被相続人の相続人になることはできます。これは民法第727条に規定があり、養子は、養親と養子縁組をした日から法律的には血族となることができます。しかし、養親と養子は血族とはなりますが、養子縁組の際に、既に養子に子がいた場合(いわゆる連れ子)、この子と養親は血族にはなれないのです。よって、被相続人の養子は相続人にはなれますが、養子の子は代襲相続の権利はないことになります。

しかし、養子の子が代襲相続の権利を持つ場合があります。民法第887条2項にあるように、養子は被相続人の直系卑属となりますので、養子縁組した後に生まれた子は相続を代襲することができるのです。何かややこしいので、簡潔にまとめてみます。

・養子縁組前の養子の連れ子は代襲相続はしない。
・養子縁組後に生まれた養子の子は代襲相続をする。

要は、養子の子が、いつ生まれたかによって代襲するか、しないかが決まるということです。

直系尊属の代襲相続

相続順位で第2位になる、直系尊属には代襲相続があるのでしょうか。

直系尊属とは、被相続人の親や、祖父母、曾祖父母の意味です。直系尊属が相続人になるためには、被相続人の配偶者や、その子、孫、ひ孫などの直系卑属が、相続開始の前に既に亡くなっていなければ相続人にはなれません。よって、相続順位1位からの代襲相続はあり得ません。

仮に、相続の権利が直系尊属に移転し場合で、被相続人の親が既に亡くなっているときの相続人は誰かというと、親の親、つまり祖父母になります。もし、祖父母が既に亡くなっている場合は、祖父母の親、つまり曾祖父母が相続人となります。

この場合の相続権利の移転は、代襲相続とはいいません。これは民法第889条1項1号に規定があり、代襲相続は直系尊属の中で発生するため、直系尊属の場合は代襲相続とはいわず、単に相続の権利が移転したたけということになります。

法定相続割合について

民法で規定されている、法定相続割合はご存じでしょうか。民法では、相続財産を分割する目安として、第900条に条文化されています。

・相続人が配偶者と子の場合は、それぞれ1/2ずつ
・相続人が配偶者と直系尊属の場合は、配偶者が2/3で直系尊属が1/3
・相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者が3/4で兄弟姉妹が1/4

民法ではこのように分割するとなっています。よって代襲相続もこの割合で考えれば、何の問題も起こらずに進めることができます。しかし、実際の相続は、相続人同士で話し合って決めることが多いでしょう。その割合で代襲相続となりますので、難しい問題といえます。

代襲相続者の相続割合

代襲相続における相続の配分例を見てみましょう。どの場合も、被相続人から見た場合になります。

■相続人が、配偶者と子2人の場合(相続財産は3,000万円)
・配偶者は1,500万円(1/2)
・長男は750万円(1/4)
・次男(既に死亡)
:次男の長男は代襲相続になり、375万円(1/8)
:次男の長女は代襲相続になり、375万円(1/8)

■相続者は、兄弟姉妹の場合(相続財産は3,000万円)
・配偶者(既に死亡)
・長男(既に死亡)で子どもなし
・次男(既に死亡)で子どもなし
・親、祖父母、曾祖父母(既に死亡)
・兄は1,500万円(1/2)
・弟(既に死亡)
:長男は代襲相続になり750万円(1/4)
:次男は代襲相続になり750万円(1/4)

■相続人は配偶者と子、養子の場合(相続財産は3,000万円)
・配偶者は1,500万円(1/2)
・長男は750万円(1/4)
・養子(既に死亡)
:連れ子は相続なし
:養子に入った後に生まれた子は代襲相続になり750万円(1/4)



代襲相続の発生要件

相続の代襲が起こるのは、相続人が相続開始の前に既に亡くなっていることは前述の通りですが、その他の理由でも代襲相続は発生します。以降、その要件についてご説明します。

相続欠格者となった場合

相続欠格者とは、相続人の資格がない相続人のことをいいます。では、どのような理由があると相続欠格者となってしまうのでしょうか。主な例を以下にご紹介します。

・相続人になる、または相続順位を上げる目的で、故意に被相続人や親族を殺害したり、毒などを飲ませて殺害しようとしたために刑に処せられたとき。
・被相続人が殺害されたことを知っていながら、故意に警察等に黙ていた場合。
・被相続人を脅迫したり、騙したりして遺言書を書かせたり、取り上げたりした場合。
・被相続人を脅迫したり、騙したりして、遺言書の書き換えを妨害した場合。
・被相続人の遺言書を偽造したり、破ったり、捨てるなどした場合。

要は、相続に関して犯罪的な行為をすれば、相続人とは認められないという意味となります。このことは民法第891条に規定されています。

もし、相続人が相続欠格者となった場合は、代襲相続が発生することになります。また、被相続人の遺した遺言状に、相続欠格者に相続させる意図が書いてあってもそれは認められません。

相続排除された場合

相続排除とは、被相続人の意思で相続人の相続する権利を取り上げてしまうことをいいます。

排除される相続人の範囲は決まっており、相続の遺留分を持っている相続人だけに限られます。遺留分を持っているのは、被相続人の配偶者や直系卑属、および直系尊属のみとなります。よって、被相続人の兄弟姉妹は遺留分を持っていませんので、相続の排除を受けることはありません。

ただし、被相続人の勝手な考えだけで相続の排除はできません。それ相応の理由が無い限り相続人の相続権利を奪うことはできません。以下に、排除されるに相当な理由をご紹介します。

・被相続人に対して虐待したり重大な侮辱をした場合。
・被相続人が犯罪を犯す等の非行をした場合。

このことは、民法第892条で規定されています。なお、相続の排除をするためには、遺言状に書いただけでは有効ではありません。書いてあったとしても、その相続人が遺留分を請求してしまうからです。

相続排除の仕方

相続排除の手続きは、被相続人の住民票のある住所を管轄する家庭裁判所に申立てる必要があります。被相続人が生前に申立てる方法と、被相続人が既に亡くなっていて、相続の排除についての事柄が書いてあれば、遺言執行者が申立てる、2つの方法があります。

家庭裁判所は、その申し立てを審理し、審判が確定すれば、役所へ相続人排除届を提出することで、相続の排除をすることができます。排除された相続人の権利は代襲相続されることになります。

相続放棄との関係

相続放棄と代襲相続

相続人が相続を放棄した場合の、代襲相続との関係はどうなるのでしょうか。

民法第839条によれば、相続を放棄した場合は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとする規定があります。

相続の放棄を正式に家庭裁判所に申立てることにより、その相続人は被相続人のプラスの財産もマイナスの財産もどちらも相続をしないことになってしまいます。また、初めから相続人となりませんんので、相続放棄した相続人の代襲相続は無くなることになります。

よって、被相続人の子が相続放棄した場合、相続の権利は孫、ひ孫へと代襲しなくなってしまいます。相続人が相続放棄する理由はさまざまといえますが、主な理由は、被相続人のマイナスの財産、つまり借金などの負債がプラスの財産よりも多い時があります。そのような財産なら相続しても意味がなく、かえって借金を抱えてしまうことになりますので、代襲相続はさせない方がいいでしょう。

しかし、被相続人の加入していた生命保険の受取人が、相続放棄した相続人の場合は問題なく受け取ることができますので心配は不要です。また、遺族年金の受給者が相続放棄した場合でも、引き続き遺族年金を受け取ることがきますので、これも心配はありません。

相続放棄した場合の注意点

相続放棄する理由に、多額の負債があることは前述した通りですが、相続放棄した財産を相続しなければならない方がいることです。

相続の順位は、民法第889条にある通り、第2位は直系尊属、第3位は兄弟姉妹となっています。もちろん、第1位は子であり、配偶者は順位に関係なく相続人となります。

相続放棄したのが、被相続人の配偶者であれは、子がすべて借金を背負うことになります。そして子も相続放棄すれば、代襲相続はありませんので、次の順位である直系尊属が背負うことになります。直系尊属が相続放棄してしまいますと、最後に借金を背負うことになるのが、被相続人の兄弟姉妹へと負の相続が繰り下がっていくことになります。

相続順位の上位の方が相続放棄した場合は、下位の順位の方たちにも相談しておいた方が良いでしょう。



その他の相続事例

非嫡出子の場合はどうなるか

非嫡出子に対する言葉に嫡出子という言葉があります。嫡出子とは戸籍上婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子、つまり実子のことをいいます。それに対して、戸籍上婚姻関係ない男女の間に生まれた子のことを非嫡出子といいます。いわゆる愛人の子などがそれに当たります。

まず、非嫡出子に相続権があるかどうかですが、相続権は持つことはできましたが、法定相続割合は嫡出子の半分という民法上の規定がありました。しかし、平成25年12月5日に法律が改正され、非嫡出子と嫡出子の法定相続割合は同等となりました。

しかし、代襲相続については、戸籍上は被相続人の直系卑属とはいえないため、非嫡出子の代襲相続は認められていません。

法務省:民法の一部が改正されました
参照元:法務省(2015年11月、著者調べ)

胎児はどうなるか

胎児には代襲相続されるのでしょうか。

民法第886条によれば、胎児にも相続権が認められていますので、代襲相続もされることになっていますが、死産の場合は相続権を失うため、相続権も代襲相続も生まれてその効力を発することになります。

特に問題になるのが、被相続人が夫の親の場合です。夫が生存していれば、夫は親の財産を相続できますが、夫が相続開始前に亡くなっている場合、その妻には相続権がない、ということです。もちろん、その妻が養子縁組されていれば相続権はもつことになります。しかし、養子縁組されていない状態で、相続開始され場合、妻には何の財産も相続されないことになります。

ただし、その妻が妊娠中の場合は、胎児には相続権が認められていますので、生まれて出産できれば、その子は当然相続することができます。

最後に寄せて

いかがでしたでしょうか。

実際のところ、相続するような機会がないとあまり関係のない話となりますが、代襲相続に関していてば、いつ自分に関わってくるかも知れない事態といえましょう。誰が亡くなって、その財産は誰が相続して、ということにも関心が高まるのではないでしょうか。

しかし、代襲相続にはいろんなパターンがありますので、相続するということは大変なことといえます。相続する財産の大きさにもよりますが、もし自分が関わっているのではないかと思ったら、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談することをお勧めすます。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。