老後の生活資金はいくら?今から始める【項目別】やりくり術のススメ

年金問題や老後資金についていろいろと言われていますが、少しでも心配事を減らし楽しい老後生活を送るために、今からはじめられることがいくつもあります。小さな生活習慣の差はいずれ大きなゆとりの資金を生み出します。老後になって急に破綻したりしないためにも、今ある習慣をよりよいものに改めていくことが第一歩です。



老後の生活資金はいくら必要?

平均的な年金受給額

厚生労働省が毎年発表している、夫婦二人世帯の平均的なモデル年金受給額は、22,1507円(月額)となっています。これは厚生年金の受給額の例で、夫が平均的な収入(平均標準報酬が36万円)で、40年間勤めて年金額を納めてきた場合の夫婦二人でもらえる額の合計です。

一方、自営業やフラーランスなどで国民年金しかない場合の一人当たり、満額で65,008円(月額)となっています。ということは、国民年金のみの夫婦の場合は二人合わせても130,016円(月額)ほどとなります。しかし、年金は個人個人の支払い状況や収入額によって段階的に金額が変わってくるので、一概に皆がこのくらいとは言えないでしょう。

また、個人年金や不動産収入のある世帯ではモデル受給額よりも多くなりますし、厚生年金に加入していても、納めた年数が短ければもらえる額は下がってしまうでしょう。

平成27年度の年金額改定について |報道発表資料|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年11月著者調べ)

年金世帯の平均生活費の内訳

年金で生活している方々がどのような収支で生活しているかを総務省が調査した「家計調査報告」によると、生活費目別の金額は以下のようになっています。

・住居費:16,158円
・食費:60,869円
・光熱費:21,042円
・家具、家事用品:9,788円
・被服等:6,940円
・交通、通信費:26,825円
・保険医療費:14,635円
・交際費:28,749円
・教育、娯楽費:28,749円
・その他支出:28,511円

 支出合計:239,485円

平均的な支出をみただけでも、厚生年金の標準モデル世帯の受給額22,1507円より17.978円不足しています。定年退職後も週に何日かアルバイトなどをしていたり、貯金を取り崩したりしながら不足分を補いつつ生活している家庭が多いようです。

家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成26年調査結果 : 知るぽると
参照元:金融広報中央委員会(2015年11月、著者調べ)

統計局ホームページ/家計調査報告(家計収支編)―平成26年(2014年)平均速報結果の概況―
参照元:総務省(2015年11月著者調べ) 生活にかかるお金を上手に節約すればお金をたくさん使わずに老後もゆたかな暮らしを継続していくことが出来ます。そのために今からやっておいたほうがよい節約習慣やサービスなどを、生活費目別にご紹介します。



食費やりくり術

老後の食費はってどれくらい?

平均的な老後の食費は夫婦二人以上で、60,869円と調査の結果が出ていますが、みなさん今の家計の食費と比べていかがでしょうか。子供がいてもそんなに食費をかけていないという方も多いと思います。では、なぜ老後の方が食費があがった結果になっているのでしょうか。

老後は、そんなにたくさん食べないであろうと、今より下がるイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。ところが、子供たちの手が離れ自分達だけの食事の支度でよくなっていくと、手間のかかる料理はあまりしなくなる傾向にあります。買い物も節約の為に自宅から少しくらい遠くても買いに行っていたものが、体の衰えと共に、多少割高でも自宅の近くのお店で食品を買うようになっていくそうです。

また、高齢者向けの夕飯やお弁当の宅配サービスの利用などもあり、結果として若い頃の通常の食費よりも、あがってしまう傾向があるそうです。

今からできる食費の節約方法

老後になってから急に長年行ってきた食生活を変更するのは、なかなか至難の業とも言えます。出来れば、今のうちから日頃お金をあまりかけずに出来る料理方法やレシピなどといった、節約を意識した生活習慣を送っていければ、老後も今とほとんど変わらず、自分らしい暮らしを続けていくだけなので、急な生活の変化による苦痛も感じなくて済みます。

火を使ったりする料理は、年齢があがっていくにつれやや危険が伴います。そこで、労力も心配も少なくて済む、電子レンジやオーブントースターなどを使った料理がおすすめです。ガスを使わない分、ガス代の節約にもなります。また、ちょっとずつ欲しい野菜は、キッチンで手軽に収穫できるキッチン菜園などがおすすめです。

にんじんや大根の上部分をお水を張った容器に入れておけばまた上の葉が育ち、葉っぱ部分は彩りやちょっとした薬味代わりにもなります。スーパーで売っている豆苗は根元を数センチ残して食べる分だけ切り取って使うと、カットした部分からまた生えてきて二度味わえるお助け食材でもあります。

食材を余らせてしまうからと、一人分ずつ売っているコンビニなどの惣菜ばかり買っていると、食費がどんどんかさんでしまいます。余る食材は、魚なら味噌をすりこんで西京漬けにしたり、塩麹などに漬け込んだりすれば保存日数も伸びますし、次に食べる時に美味しく手早く料理することも出来ます。

お年寄りのための安心・かんたんレシピ集|介護・福祉のけあサポ
参照元:けあサポ(2015年11月著者調べ)

節約効果はこれぐらい!

出来合いの食事や宅配のお弁当サービスなどを使った場合と、少しずつ手間をかけ料理をして暮らしている場合の食費の金額の差をあげてみます。

<お弁当や宅配サービスを利用して暮らしている例>

・朝…パンやごはん、残り物などを利用
 パンなど購入代金:1食100円×30日=3,000円

・昼…コンビニでお弁当などを購入
 1食400円×30日=12,000円

・夜…食事宅配サービスを利用
 1食700円前後~×30日=21,000円

1カ月の食事代のみの合計:36,000円(一人分)

<手間を少しづつかけ簡単な自炊で暮らしている例>

・朝…パンやごはん、残り物などを利用
 パンなど購入代金:1食100円×30日=3,000円

・昼…自炊でまかなう
 食材費:1食200円~300円程度×30日=9,000円

・夜…自炊でまかなう
 食材費:1食500円程度×30日=15,000円

1カ月の食事代のみの合計:27,000円(一人分)

朝昼晩の食事以外に、飲料や甘いもの、果物等、購入する代金がここに加わってきます。また、上記の例はあくまで一人分の計算です。夫婦二人となった場合、宅配サービスなどで暮らしている場合は単純に二倍の金額が必要になってきますが、自炊の場合は食材を上手に使いまわすことが出来るので単純に二倍にはならず、増えても1,5倍程度の食費となってきます。やはり少しでも手間のかかった自炊のほうが食費は安く抑えられるのですね。

光熱費やりくり術

平均的な光熱費はいくら?

平均的な光熱費は21,042円となっています。老後は子供の手が離れ、食費同様で光熱費も下がると思いがちですが、子供がいたころとあまり変わらないか、もしくはそれ以上に光熱費が上がってしまっているということが多々あります。人数も減っているのに、なぜでしょうか。

それは体の老化に関係があるそうです。高齢になるにつれ眼も老化していきます。照明だけを見ても一般的に読書に必要な明るさは300~750ルクスですが、高齢者にはその明るさでも暗く感じ、必要な明るさは約2倍の600~1200ルクスとなっています。それまで過ごしてきた明るさでは足りず、さらに照明を増やしたりして電気代もあがってしまうというわけです。

また、仕事も退職し在宅時間が大幅に増えることから、家にいる分電気の使用時間も長くなり、結果的に電気代や水道代などもあがってしまうと言われています。

光熱費の節約方法

老後に光熱費を節約するための一番の方法は、やはり「健康を保つこと」に他ならないのですが、何十年も続く長い老後生活を送る上で今からはじめておきたいポイントがいくつかあります。

1,健康を保つように今から気をつける

2,外で過ごす趣味を持つ…散歩や旅行、ガーデニングや山歩きなどの外で楽しめる趣味を持ち、在宅時間を減らすことで光熱費を抑えられるほか、健康の維持・増進にも役立ちます。

3,住む家を見直す…不必要に大きな住む人数にあっていない家では、光熱費がかさんでしまいます。老後に住む人数にあわせた家へ適切な時期に改修をしたり、賃貸で間取りを考え住み替えるなど行うことによって光熱費を抑えることが出来ます。

こういった対策を行うことで、光熱費の節約につながるほか、健康の維持、増進にもつながり安定した老後を送ることが出来るようになります。

節約効果はこれぐらい!

老後に毎日ほとんど外出をすることなく自宅で過ごした場合、日中窓から陽の光は入ってきますが、家の間取りなどによっては日中も照明をつけなければ暗く、在宅中ずっと何かしら電気を使用している状態の場合電気料金は日々、どんどんかさんでいきます。例えば、一般的な40Wの蛍光灯を24時間つけっぱなしにすると、電気代は1日で23円ほどといわれています。これを30日換算すると23円×30日=690円が蛍光灯1本にかかっているのです。

また、在宅にいればいるほど、お湯を沸かしたり、何かちょこちょこと調理したりする時間も増えてしまいます。そして電気のみならず、ガス代や水道代も同じように上昇していきます。日中数時間でも趣味などで外出すればその分電気やガス、水道の使用はなくなるので、一概にいくら下がるとは言えませんが、支払っている光熱費の何割かは必ず安く抑えることが出来るでしょう。



通信費やりくり術

老後の通信費はいくらぐらい?

若い世代でも分かりにくい今の携帯電話のプラン。高齢者にとっては、より難解なものに感じてしまいます。窓口で説明も受けてもよく分からないから、お店の人のいうままにおまかせで携帯料金のプランを設定している高齢者は多くいます。

総務省の家計調査報告では、1カ月の交通・通信費として26,825円と出ています。交通費に1万円毎月かかったとしても、夫婦二人で残り16,825円は多い数字ではないでしょうか。今はシニア世代も気軽に使えるようにとシニア向けのスマートフォンなども発売されていますが、利用するには、シニア携帯向けのパケット定額プランなどに加入しなければならないなどの条件等があり、通信費が大幅に上がってしまう要因とも言えます。

通信費を抑える方法

通信費を抑えていくには、今現在では格安でスマートフォンが利用できる格安simなどを使った方法で、スマートフォンを維持していくのが主流ではありますが、利用するにあたって、高齢になればなるほど仕組みや手続きを自分で進めていくのはやや至難の業とも言えます。

老後は出来るだけシンプルなものをずっと使い続けていくことが、通信費を抑えるためにも、安心して利用し続けていくためにも大切です。自宅で使う固定電話のみで用事が足りるのであれば、携帯電話をもたず固定電話の利用代金のみで済みます。外出も多くそれでは不便という方や、今から老後に向けて続けていける節約のできる持ち方としては、2台持ちという持ち方になりますが、格安simなどを導入した維持費用の安いスマートフォンを利用する方法があります。

料金はぐんとお得に下がっても、高い料金を払っていたころと変わらず、インターネット閲覧やSNS、動画閲覧なども行うことが出来ます。老後になりいずれそういった機能が不要になった際には、スマートフォン類は手放し、通話のみのシンプルな携帯電話1つで生活していくことも出来るでしょう。

節約効果はこれぐらい!

今現在から通信費を節約していくことで、浮いたお金を老後のための貯蓄に回していくことが可能です。MM総研が調査を行った携帯電話の動向に関するアンケートで、スマートフォン利用の際の平均的な通信費は6,826円、電話や簡単なメール機能だけのいわゆるガラパゴス携帯と呼ばれる従来型の携帯電話では、月々平均3,746円という結果が出ています。

この差額を見ると、スマートフォンを1年利用した場合、年間で81,912円。ガラパゴス携帯を利用した場合は、年間で44,952円。おおよそ、二倍近くの金額の差があり、4万円ほどが浮く計算になります。これを現在30歳とし70歳まで(40年間)利用し続けた場合、160万円もの差が携帯の選び方ひとつで出るのです。

月々にたかが3,000~4,000円ほどの差額だと思っても、長期的な視野でみれば百万円を優に超える差額になるのです。この分を月々投資信託などで運用すればさらに差は大きく広がり、老後の経済的ゆとりにも大きな違いが生まれる結果になります。便利だから、億劫だからとそのまま通信会社にやみくもに払い続けていては老後の大きな資産を逃してしまうことにもなりかねません。

一度、今使っている携帯電話についても長期的な視野で見直してみることも、老後の生活をよりよくするために大切なポイントとも言えます。

携帯電話料金、スマホは「6,826円」フィーチャーフォンは「3,746円」 | RBB TODAY
参照元:RBBTODAY(2015年11月著者調べ)

医療費のやりくり術

老後の医療費ってどれくらい?

老後に使われている保険医療費の平均は14,635円となっています。高齢になると体の老化に伴いあちこち調子が悪く感じたり、病気になりやすくなり、病院にいく頻度も増えてしまいます。また、1つの病院での診察や薬に納得が行かず、いくつもの病院を掛け持ちしてかかってしまう重複診療も少なくはないでしょう。

1つの体の悩みにつきいくつも病院をかかるのでは薬代も高額になりますし、どの薬が本当に必要な薬かさえよく分からなくなってしまいます。また風邪などのちょっとした症状でも、大きい病院に行ってしまうといった、病院選びも老化により判断の低下から招きやすく、最寄りのかかりつけ医などに受診するよりも、診療費を高く支払う結果になっているケースも多くみられます。

老後の医療費を節約するには

老後の医療費を節約するには健康でいることがないよりも一番の節約方法ですが、その健康の維持方法をいくつかご紹介したいと思います。いくら気を配っていても、体の老化によりなにかしら調子が悪い時もあるかもしれません。体のメンテナンスも兼ねて大事にしておきたいことは、信頼できるかかりつけ医を見つけておくことです。

そして気をつけるべきことは、診察結果に納得がいかず体調がなかなかすぐれないからと、いくつもいくつも重複で診療を受けてしまうことです。これが、高齢者の毎月の医療費を引き上げる要因ともなっています。セカンドオピニオンとして別の医師の意見を聞くのは大切なことでもありますが、1つの症状につきいくつもいくつも病院を転々としてしまうと受診料の他に、たくさんの薬代もかさんでしまう結果になるでしょう。

自分ではなかなか専門的なことがわかりづらい医療や体のことですが、市など各自治体では、保健師さんの健康指導訪問などを実施していたりします。そういった無料で受けられる公共の制度を利用していくことで、やみくもに病院に行くという機会がぐんと減りますし、自分の体にあったアドバイスを受けることも出来るといえます。

節約効果はこれぐらい!

自治体などで実施している保健師さんの訪問健康指導などを上手に利用していくと、大幅に医療費を節約していくことが出来ます。病院にいくかどうかの正しい判断の仕方も、こういった保健師さんから指導やアドバイスとして学ぶことが出来ますし、定期的に訪問を利用してもらうことで体の調子を客観的にアドバイスしてもらうことも出来ます。

一週間に一回通院していたとして、一回の受診料2,000円前後とすると、月に8,000円程度のお金が一人あたりにかかってしまいますが、これが月に1度程度まで減らせれば、約6,000円もの節約になり、夫婦二人では12,000円ものお金が手元に残る計算になります。大事な体のことですから不安になり病院に行きたくなる気持ちも充分に分かりますが、そういった不安の解消に、行政が行う健康指導を活用していくことで大きな節約にもつながっていくでしょう。

お金をかけずに上手に暮らそう

世の中には、コストをかけずに上手に暮らせる方法が探せばいくつも見つかります。はじめのうちは調べるのが面倒だったりもしますが、長期的な視野で1つ1つゆっくりでも改善していけば、必ず良い結果に結びつきます。市区町村が行っている公共のサービスや制度を上手く活用していくことや、現在利用しているサービスも一度長期的なプランで見直してみることで、手元に残るお金はどんどん増えていくでしょう。

手元に残ったお金を老後のための資産運用に活用し、さらなるゆとりを生むことも出来るのです。まだまだ何年もある今だからこそ、元気に動き回れる体がある今だからこそ、少しずつ良い習慣を生むものへ作り変えていける時間でもあります。老後のためにと思って変えてみたことは、今の生活にも必ず良い変化をもたらしてくれるかもしれませんよ。