<節税>こんな制度もある!あなたの家もきっと使える控除制度

「節税」に興味はあるけれど、何をしていいか分からない。「控除」という言葉は聞くけれど、具体的に何なのかよく分からない。どんな制度でどんなことができるの?うちは持ち家でローンは使っていないのだけど、それでも使える制度なの?もちろんです。控除には色々な種類があるんです。節税に繋がる控除制度の基礎を優しく解説します。



節税効果たっぷり!?控除制度

ふるさと納税をした場合に確定申告をすれば税金がお得になるのは知っている。医療費がかさんだ時は医療費控除という制度がいいらしいとも知っている。住宅ローン控除という名前をよく聞くけど、うちは昔からの持ち家だから関係ない。そんな方はいらっしゃらないでしょうか。

控除は何もふるさと納税や住宅ローン控除だけではありません。税金がお得になる控除制度の数々をご紹介します。中には「え、こんなことで税金がお得になるの?」なんていう制度もあるかも!?



節税と控除の関係

「控除」とは、ある金額から一定額を差し引くことをいいます。世間一般には、税金の計算のもとになる金額から一定額(必要費などの決まりで許された金額)を差し引くことをして「控除」と使われているのではないでしょうか。

税金の計算のもとになる金額から一定の金額を差し引くわけですから、計算結果がその分小さくなる、つまり税金が安くなるという寸法です。とても簡単に説明しましたが、節税と控除の関係はざっくりとこのように理解してしまった方が分かりやすいと思います。税金の元になる金額から一定額を引くから、結果的に算出した税金が安くなる。そして、多く税金を払っていたら多い分が還ってくる。こんな感じです。

ですが、黙っていては税金は安くもなりませんし、返ってくることもありません。なぜでしょう?それは、税務署が個々人の細かなお金の動きまで把握していないからです。

例えば、ふるさと納税の場合、基本的には確定申告が必要です。2015年4月1日にワンストップ特例が開始され、特例の条件に合致する人で申請書を提出した人は確定申告は不要となりましたが、基本は確定申告が必要な制度です。個人が特定の制度を利用してお金を出資していることを税務署側が把握していれば自動的にお金を返すこともできるのですが、全国民分のお金の動きをつぶさに監視するのは無理です。

医療費控除は一定額限度額以上の医療費を支出した場合は返金が行われる、または一定限度額で支払いをストップする制度ですが、税務署は個人の医療に対する支出を隅から隅まで監視していません。そもそも、自分が何にお金を払ったか、どれだけお金を持っているのかを監視されることはプライベートを覗かれているようであまり良い気はしないのではないでしょうか。これは始まったばかりのマイナンバー制度でも指摘されていることです。

ですから、「こんなことにお金を使いましたよ」「これ、税金の算定のもとになる所得から引いていい経費ですよね?税金が安くなりますよね?」「ほら、レシートも領収書もありますよ、これが証拠です」という形で税務署に申し出なければいけません。申し出てもらってやっと税務署は「あ、これ、税金の算定額から引いていい分ですね。引いた分、計算結果が変わりますので税金が安くなりますね。多い分はお返ししますね」という話になります。

確定申告の必要性

個人のお金の動きを全て監視し、適宜に徴収したり、返還したりすることは、日本人口と日々行われる取り引き数を考えれば無理なことです。また、個人から「私のお金の動きを監視なんてやめてよ。プレイベートを覗かないで!」という反発だって考えられます。

ですから、「税金の算定額から引き、多い分から返す」という控除制度は基本的に確定申告という税務署への報告が必須です。住宅ローン控除のように会社側がしてくれることで個人では申告不要になる場合や、ふるさと納税のワンストップ特例のように自治体側がしてくれることで申告不要になるケースもありますが、基本は、「控除を使うなら確定申告しなさい」という法則があります。

確定申告は確かに面倒です。書類も難しいですし、どんな書類を取っておいてどんな書類を捨ててしまっていいのか個人ではなかなか判断がつきません。特に会社にお勤めの方は住宅ローン控除は使っているけれど確定申告とは無縁という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そういった方は、「お得になるとはいっても面倒だな」と思うかもしれません。当然の心理だと思います。この記事を書いている私だって確定申告は面倒で、シーズンになると「ああ、今年もこの時期が来てしまった……」とため息くらいつきます。お気持ちはとてもよく分かります。

しかし、税金をざっくりと10%として、その年の所得が300万円だった。控除できる金額が無しの場合、税金は30万円です。しかし、控除を使い300万円から80万円引いたとすると、計算に使う金額が220万円になりますから、計算結果として出る税金額が22万円になります。簡単な額で例えて計算しましたが、控除が使えるなら使った方が確実にお得です。

■税金の算定の元になる金額(主に所得)から出費した分を引くことができる。
■計算の元になる金額が小さくなるから算出される税金額が小さくなる。
■税金額が小さくなるので、税金の支払い自体が楽になる(節税効果1)
■税金額が小さくなるので、多く払った税金は返ってくる(節税効果2)

この三つを考えると、使わないのは惜しい気がします。確定申告という手間や時間を要する手続きが必要になりますが、どのような控除制度があるかを把握した上で使う使わないを決めても良いのではないでしょうか。特に出費が多い年などは、控除制度を頭に入れておくと「あれ、これって税金がお得になるパターン?」と気づいて実際い使ってみたら家計が助かったということもあると思いますよ。

申告・納税手続|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

どんな金額を引けるのか?

節税のためには控除制度を活用することが重要です。ですが、控除を使うためには確定申告が必要です。また、どんな金額が税金算定の元金額から引けるのか?どんなことで出費したら控除対象なのか?ということを知っておくことも重要です。節税のためには控除制度をざっとでいいので頭に入れておいた方が、これは税金がお得になるパターン!?と自分で判断できますので、確実に良いと言えます。

細かな書類や金額に関してはそれこそ税務署のお仕事です、お願いします!と割り切ってしまいましょう。ある程度の控除制度の内容と確定申告が必要なことを覚えてしまい一日を踏み出せば、後は手続きを行う中、実戦で身につけることができます。何事も基本から。応用部分は税務署の担当の方に質問して質問してさらに質問してしまいましょう。

節税のための控除制度

特にご家庭に関係の深そうな控除に的を絞ってご説明します。

控除は上手く使うと節税になりますが、基本的に確定申告が必要になり、その際に領収書やレシートが必要になります。自分では「この出費は控除対象になりそうだな」と考えても、実際は対象にならない場合もありますし、まったく別の控除対象に該当する場合もあります。これで絶対に大丈夫!絶対に対象になる!とは、一個人では判断できません。

我が家はこの控除も使えそうだなという基本部分を頭に入れて税務署に確認するのが控除への一番の近道です。その際は必ずお手元に領収書とレシートをご用意ください。

人的控除

人的控除とは、本人や家族の状況、人のいる・いないにより行われる控除です。基礎控除(本人がいるだけで自動的に控除されます)、配偶者控除、障害者控除、寡婦控除、寡夫控除などがこれにあたります。

人的控除の場合は、家族状況や、特定の人がいる・いないによって判断されますのでレシートや領収書は特に関係ありません。家族状況を確認できれば控除が行われることになります。会社に方は自動的に配偶者控除が考慮されていることと思いますがいかがでしょうか?

人的控除の概要(所得税) : 財務省
参照元:財務省(2015年11月、著者調べ)

保険料控除

生命保険料、地震保険料、社会保険料を支払った場合は一定額が控除されます。人的控除のように、これも会社にお勤めの方は自分で確定申告ということはほとんどないと思います。会社側に書類を書いて欲しいと渡され、保険料を記載して提出している方が多いのではないでしょうか?

ただ、会社側がしてくれているからといってそれで終わりではありません。稀にですが計算ミスにより控除が満額行われておらず、税金を多く支払っているケースがあります。会社に提出する際はミスのないように確認することが必要ですし、自分で行う場合は必ず税務署で確認をしてもらいましょう。

No.1140 生命保険料控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

No.1145 地震保険料控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

No.1130 社会保険料控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

住宅ローン控除

ローンで住宅を購入した場合に計算式で算出した一定額を毎年控除できる制度です。この控除も、会社にお勤めの方は会社側で算出してもらっているのではないでしょうか。フリーで働いている方や自営業の方の中にはもちろん自分でなさっている方もいらっしゃるかと思いますが。

この住宅ローン控除と人的控除、保険料控除は会社側に言われて書類を記載したりといった作業を通して馴染みがある控除かと思います。会社側がやってくれるためにこの三つの控除を使っても自分で確定申告という方はお勤めの場合、あまりいらっしゃらないのかもしれません。控除は使っているがあまり馴染みがないと首を傾げる方が多いのは、そういった理由があるからかもしれません。

ただし、住宅ローン控除の場合、初年度だけは確定申告が必要になります。翌年からは寄付金控除のワンストップ特例と併用しても確定申告が不要というお手軽な控除です。

No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

医療費控除

支出した医療費を控除できる制度です。ただし、支払った分を全て控除できるわけではなく、保険などで補填された分は控除の対象外となります。補填できなかった分の医療費が多かった場合に活用していただきたい控除です。

医療費というと病院で支払った診察費や薬代を想像しますが、医療費控除の対象になる支出は範囲が広いです。医師が必要だと判断した治療やマッサージ代、医師が必要だと判断した場合のメガネ代やコンタクトレンズ代、レーシック代、義足や義手。松葉杖代。病院までの交通費(公共交通機関の利用が困難な場合はタクシー代)、入院費用(食事代含む)、出産費用、妊娠の際の検診費用、虫歯の治療費だけでなく歯列矯正費用も医療費控除の対象になります。他には、病院に行かず自分の判断で購入した治療に必要な薬品も対象になります。

随分範囲が広くはあるのですが、この全てが認められるわけではありません。ポイントの一つは「医師が必要だと認めた」という点になります。自分から医師が特に勧めたわけではない治療をしても、それは控除の対象にならない可能性が高いです。コンタクトとある時点で「これは私も使えるかも!」と期待してしまうものですが、やはりこちらも「医師が必要だと思って認めた」というポイントが重要です。ですが、これらのレシートや領収書は念のために保存しておきましょう。

No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

寄付金控除

特定の団体や国、自治体に寄付をした場合に寄付額により控除ができる制度です。

現在は「ふるさと納税」という名前が一般的でしょうか。ふるさと納税イコール寄付金控除なのではなく、ふるさと納税が寄付金控除の一種類という形です。ふるさと納税を活用しなくても、特定の団体への寄付や、国や自治体、お寺、更生施設などへの寄付であればこの控除の対象になります。ただし、どんな場所への寄付も全て対象になるのではなく、指定された団体への寄付が控除の対象になります。

会社にお勤めの方は、寄付金控除は別に確定申告をする必要があります。

No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

雑損控除

台風や大雨などの自然災害の多い昨今、是非活用していただきたいのがこちらの控除です。雑損控除は対象になっていても住宅ローン控除や保険料控除、人的控除のように会社側が加味してくれることはありません。基本的に医療費控除と同様に自分で確定申告をしなければいけない控除です。現在の日本の状況を考えると、非常に使える控除と言えるかもしれません。

台風や水害のような災害で家や財産に損害が出た場合は控除が可能です。例えば台風で瓦が落ちて修理したという場合はこの控除の対象になります。また、雑損控除の対象はそれだけではなく、家財の盗難(家族のものの被害でも控除可能)、横領、火事で自分と家族の家財に被害が出た場合も対象です。

他に、何と、この控除は白アリ被害にも使えてしまいます。白アリに食われてしまった家の修理代だけでなく、薬剤の散布代なども対象です。とにかく「我が家が大変だったんです!」「うちの瓦が落ちて修理したんです」「家が汚れたんです!」と、家と財産に何らかの被害が出た場合は雑損控除が使えます。盗難の場合や泥棒に土足で踏まれたせいで生じたカーペットの汚れなども対象になります。

実際に被害が出ていなくても、これから被害が出そうな場合に、その根源を断つために支出した処置費用も雑損控除の対象です。例えば雪が降り積もった場合の雪下ろし費用も控除対象です。何か被害が出そう、被害が出ました、被害関連で支出しました。こんな時は必ず領収書やレシートを保存しておきましょう。

その他の所得控除制度の概要(所得税) : 財務省
参照元:財務省(2015年11月、著者調べ)



節税のための注意点

ないものからは引けない

ないものからは控除できません。

計算の元になる金額(所得など)がない場合は控除額を引こうとしても引けません。零から何を引いても零です。元になるお金がそもそもない場合は、零から控除して「あ、マイナス行きましたね。来年の税額から引いておきますね」とはなりませんのでご注意を。何かの控除を使った場合に極限まで引いてしまった場合は他の控除制度でさらに引こうとしても「もう元になるお金がないですよ」という話になります。

引ける分は全部引いてしまうことは基本ですが、引いて引いてその上で計算の元になるお金が零になってしまった場合や、元になるお金が今年度は零だった場合は引きようがありませんのでご注意を。

ない場合は返ってくるものもない

数年間所得がなかったけれど、貯金からふるさと納税をしましたという場合に控除を使って節税しようとしてもお金は返ってきません。非課税になっている場合は還しようがないので当然です。控除はあくまで元になるお金がある場合にその金額から引いて小さく見積もる、払った税金を還してもらう制度です。ですから、払っていない税金はいくら控除を使っても戻ってきませんのでご注意ください。

領収書やレシートの保存を

領収書やレシートは控除制度を利用する上で欠かせないものです。確定申告の時に、その控除制度に関するレシートや領収書を必ず証拠として提示することになります。こんな買い物のレシートは関係ないと思わずに取っておくと意外な控除制度に引っかかったりしますので侮れません。

しかし、ただ取っておくだけでは意味がありません。レシートはなるべく日付ごと、分野ごとに整理しておくことが大切です。特に確定申告前にばたばたしている時は、レシートや領収書を過去の自分がきちんと整理していると、我がことながら褒め称えたい気分になること請け合いです。

レシートや領収書を保存する時は、さらさらと何を買ったかなどの情報を記載しておくと手続きがスムーズです。薬を購入した場合は薬名など、経費として落としたい場合は買った品物を記載しておくと便利ですし、確定申告の時の担当さんも「あ、こっちも控除できます」などと教えてくれます。

また、年が変わったからといってすぐにレシートや領収書を捨てないように注意することも必要です。控除によっては数年前に遡って可能なものもありますので、レシートや領収書は長くおつき合いするつもりで保存しましょう。

確定申告不要の場合もあり

控除を使う場合でも、確定申告が不要の場合もあります。代表的な控除不要のケースは、ふるさと納税のワンストップ特例や、住宅ローン控除の二年目以降です。他にも申告不要な場合があります。

総務省|ふるさと納税ポータルサイト|トピックス|制度改正について(2015年4月1日)
参照元:総務省(2015年11月、著者調べ)

No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

配当所得の課税方法|確定申告に関する手引き等|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

まとめ

控除という名前はよく聞くし、うちの住宅ローン控除を使っているようだ。そんな感じで何となく聞いたことがあり、知ってもいる、使ってもいるのだけど、いまいち実体の掴みづらい控除制度。税金がお得になるとは知っていても、頭に「面倒」という固定概念があるもので、なかなか踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに手続きは面倒な部分がありますが、節税を考える上では欠かせない制度です。

とりあえず何か使ってみようかな?どれだけお得になるか様子見してみようかな?という方には、今話題のふるさと納税などは取っ付きやすく、入門編としてはお勧めの控除ですので、まずは一歩を踏み出してみたらいかがでしょうか。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。